ようやく単品で刊行された。最初に掲載された懺悔室は荒木作品全般の短編集でも収録されたけど、そこで短編ストックを使い果たしたから、2話目以降は掲載誌以外での公開機会が無かったんだよね。
「ルーヴルへ行く」は未収録だが、あれは雑誌掲載ではなく単行本丸々一冊のボリュームでリリースされてるからしょうがない。「グッチへ行く」は収録されている。
4部の続きとして期待している人にはまあまあお勧め。以下は各話の雑感。
懺悔室
死刑執行中脱獄進行中で既読だから飛ばし読み。完全オリジナル短編を描く依頼を受けて執筆したのに露伴出しちゃったお茶目作。
見るからにスタンドした内容なのだが、そういう本編用語や露伴がでしゃばるような描写は流石に控えられている。動かないというのはそういうこと。まあこんな本が出る程の続き物に発展したわけだし、結果オーライだろう。
六壁坂
シリーズ化。これ以降は正式にスピンオフ作品扱いなので、4部の設定が惜しげなく出るようになる。正直冒頭の4部後日談部分のほうがインパクトがデカい話。
この話で音石の釈放が明らかになったとは聞いてたけど、結構あっさり出れたみたいだな。窃盗以外は証拠がないし、(確か)未成年だったからか。
富豪村
ついに主題「岸辺露伴は動かない」の展開縛りも無くなり、ここからは露伴が動きまくる普通のスピンオフに。無論こっちのほうが明らかに面白い。
上座下座っていう概念は、安全性の高さが基準なんだっけ?後続が座りやすいよう奥から座ろうっていう配慮とは相反するから面倒なんだよね。
しかし別荘側のマナー違反が、来客側が正しいマナーを見せるのと同等の効果って言うのは不思議だな。必殺な分チャラになってしまうリスクも多く負ってるってことなんだろうけど。
密猟海岸
トニオさんが再登場かつメインの話。いい人だけど能力が回復系等だったせいか出番が無いキャラだったから掘り下げられるのは嬉しいし、話自体も本作中で一番練られてて面白い。
岸辺露伴 グッチへ行く
よく表紙絵とかにしてるようなポージング一枚絵で会話してるシーンがやたらあってシュール。
掲載の経緯上、グッチのバッグが凄くいいもんだと思わせる努力が必要だったと伺わせるが、それとジョジョなりの楽しい流れがしっかり両立できていて面白い話に仕上がっている。