アニメ感想:失われた未来を求めて 第11話「明日また、会えるよね?」

 本作に於いてそこら中で使われている代表的なフレーズがサブタイ。佳織はついに完全にフラれた…が、彼女の告白にちゃんと結論を出すことがまさかの突破口。これで佳織が学校に長く留まるという大幅な改変が自然に起こり、バスに轢かれずに済むと。そうなのかは分からないが取り敢えずはこう解釈しておこう。ということは別に好きになるのはゆいじゃなくても、愛理や凪沙先輩や、或いは真っ当に佳織でも良かったのかもしれない。前回の奏の発言からもこういう気配がする。

 まあ、誰を取って解決したにしても、これによって将来的にゆいを開発する必要性は完全に無くなってしまうため、ゆいは今回のように代償として消えてしまうが。9話のラストで未来側の奏が謝罪の言葉を呟いていたのもこれが理由だろう。「自分が生まれる前の時代に飛んで当時の両親を葬ったらどうなるか?」みたいな議題がよくあるけど、それと同じことをさせたわけだからな…。

 そんなわけで当初の悲願こそ果たされたものの、めでたい感じは全く無い。でもここから全員が居る大団円に行ける気は全くしないなあ。ゆいを取り戻すには、この佳織が生きている時間軸でも関係なくゆいを将来的に生み出すしかないように思われるが、とても並大抵のことではない。

 今残っているものは恐らく、ゆいが居た期間の記憶の違和感と、役目を終えたかのような演出が入ったAIユニットだけ。そこから彼女の存在を思い出すだけでも歴史に逆らう凄まじい所業なのだが、加えてゆいの体を調べる過程抜きでゆいの素体を生み出すポテンシャルまで求められる。極めつけに文化祭の件や奏との恋愛も尊重するなら、高校時代に送る行為すら再度行わねばならない。「佳織を救う」という大前提が既に覆された状態で9話と同じことをやるなんて、茨の道にも程がある。かと言って他の可能性は検討もつかない。なんだかんだで愛着バリバリなアニメになっちゃったから、是非ともなんとかなって欲しいところだが、果たして彼らはどんな手を使うのか。