漫画感想:NEEDLESS 第16巻(最終巻)

 長らく続いたブレイド軍団の戦いもついに終結。溜まりに溜まった謎を超速で片付けているため全編ブッ飛びまくりの最終巻だった。
 色々思う所があるので書くが、その際ネタバレを考慮しないので、本編より先にこの下を見るのは推奨しかねる。


クルス
 この最終巻をもって、ついに女装期間が非女装期間を超えた。・・・まさかこれだけでは済まない結末が待っていたとはな。
 ニッチな需要を失い万人向けの存在になったわけだが、あとがきによると今井氏自身こういう落とし所にしたかったようで、編集のテコ入れとかが招いた結果では無さそうな感じ。私的にはブレイド達も含めた総意と同意見なので不服なし。
 あと右手左手云々は聖痕の正位置の事で、アルカ自身を含めての発言だったんだな。イージス自体に更なる何かがあるのかと思ってた。

ギド
 彼の正体に対する予想はおおよそ合ってた。良くも悪くも一途なじーさんだった。しかし最期が文句なしで作中最グロだな。モノクロだからいいけど、カラーだったらまともに見れたか自信がない。
 しかし左天があの状態から立て直したから、ギドの前頭葉もいまいち侮れない気がする。左天ほど希望は無いが、2で持ち直す可能性は十分考えられるな。

左天
 アニメ版とは正体も行動原理も全然違ったな。アダムシリーズなのは合ってるし思わせぶり過ぎる包帯から想像もついてたが、流石にこれは意外。

炎と炎神の息吹
 正直こいつら聖痕ダブってない?って思ってたけど、一応聖書だと炎はそのまま炎、炎神の息吹は分子運動→絶対的な破壊・女神の盾の対という解釈でハッキリ差別化されていたみたいだな。
 納得だが、それでも能力名は炎神の息吹だし、何よりかつてアルカが得意気にヒエラルキー出して照山を下位互換扱いしちゃったからなんだかなあって感じも残るな。まあ照山の炎は燃素なんて架空物質を生成して爆裂させてるわけだから、実際の所下位互換扱いは不適切だったのだけれど。

願い
 ピーチクうるせーとか言ってたりでテキトーに行使しました感が満ちてるけど、しれっと色々叶えてる。相変わらず抜け目がない。
・山田の女体化
 ぶち抜きで叫ぶほどの最重要事項。ギャグが枯渇したところでのこれだからインパクトが凄まじい。
・セトソルヴァの再生
 2人とも死体が完全に食われちゃったので、再生というか再構成。でも超パワーによるそれだから、元の自我を持ち合わせたパーフェクトな復活に違いない。アルカとかは復活してなさそうなのがちょい残念。
・全裸に靴下・手袋を3000年の歴史を持った由緒ある日本女性の伝統装束の一種(=合法)だったということに改変+現代の街でその事実が発掘されブームとして再燃
 紀元前から根付いてるというのはあらゆる観点から見て激しく有り得ないので、どう考えたってブレイドの仕業。ただし本人がこの辺に言及しないまま終わっているので、こんな緻密な願いでありながら完全に無意識下で行使した可能性がある。どちらにせよ途轍もない執念。
 にしてもよりにもよってこれが作品のオチとは・・・そういう神経は流石といった所か。ただ私的にはちゃんと着てる娘のほうが好き。
・エデンズシード爆弾による人類壊滅を止める
 明確な描写はないが、全裸靴下を流行らす前提として必要なので叶ってる。具体的にどういう形で実現したのかはよく分からないが、飛び散った分のエデンズシードを除去って感じかな?

結末が不明なキャラ
 街編の主要キャラのうち、セツナ、梔子、石山、右天、カフカあたりは最終的にどうなったのか明確に描かれないまま終わっている。
 セツナたちはイヴの時みたいにブレイドの命令次第でどうにでも収束する筈だし、最期の登場もあのギャグシーンだから問題ないはず。石山に至ってはまともな戦闘もなく顔見せだけで終わっているから完全に生存扱いで良さそう。後々何かやらかさせる構想があるとしか思えない。
 一方で右天とカフカは、セト達にやられるのは恐らく免れているが、クローンなのでエデンズシード爆弾としてあっさり弾けてしまった可能性がかなり高い。ただその爆裂命令も時間差みたいな不確定要素が見られるので、続編があればチャンスがあるかも。

総評
 萌え燃え笑いを最後まで共存させた、実に器用な漫画だった。シナリオはあまりのボリュームでややゴチャゴチャ感が出ていたものの、新刊が出るたびに既刊を読み倒したくなるくらい惹きつける内容だった。一言でまとめると私好みの素晴らしい作品だった。

 新連載の予定はちゃんと立ってるとは聞いていたが、作者あとがきによると作品内容はまだ未定らしい。
 あとディスクの解説コーナーにおける最後の挨拶だと、NEEDLESS2に対する意欲も今尚持っていそう。流石に次の新連載にいきなり2が抜擢みたいなことは無いだろうけど、結果が何であれ読むつもりなので楽しみに待ってる。一先ずは10年間お疲れ様でした。