シレン6の発表でテンション上がって買った…わけではない。Elinでテンション上がって買った「異世界の創造者」からはしごしてきたので、ローグライク違い。遊んでる期間にたまたまシレン6が発表されてタイムリーな感じに。
税別1500円で、今ではシレン5も同じくらい安いためちょっと気が引けるのだが、このゲームはこのゲームで凄くいい。まあDLSiteに体験版があるのでそちらを触ってみるのがいいかと。
雑感
「アスカ見参」と「シレン2」の空気がそのままある。
だってマムルみたいな性能のモンスターとかマルジロウみたいな性能のモンスターとか出てくるし、ワナ道とモンスターの壺(+エレキ箱)と黄金の間と宝剣ミジンハまであるし…。
大量にある特殊ダンジョンも、アスカの特殊ダンジョンをモチーフにしたものが結構あるようだ。
と言ってももちろん本家の素材やバランスを丸パクリなんてことはしておらず、ちゃんと作者なりに作り直しているし、キャラクターセレクトシステムがあって使用キャラごとに進め方が全く変わるなど、かなり独特の味もある。
アスカまでのシレンに、更にトルネコ等の他のメジャーなダンジョンゲーの要素もちらほら取り込んで、作者のバランス感覚で再構築したような内容といえるかな。典型的なフォロワー作品。
「作者のバランス感覚」に関しては、理不尽要素をかなり抑えている印象。全体的にシレンシリーズより数段優しいんじゃないかな?
キツいことしてくるモンスターはまあいるけど、基本的には対策や利用手段があって、あらゆる評価視点をもってしてもブチ切れるしか無いレベルの畜生はいなかった。
わかり易い例の一つとして、アークドラゴンに相当するモンスターがいるんだけど、こいつは常に鈍足・ふらふら移動っていう弱点を持ってるし、自然出現するダンジョン自体がクリア後以降でも相当限られている。
全体的に、一定の難易度を確保しつつも不快にはならないよう気を使っている感じがした。
- 勿論ヤバいダンジョンはちゃんとヤバい。画像は他のモンスターの能力で透明化したモンスターに襲われているシーン。倒して切り抜けようと思ったら、この後左からデフォルトで4倍速の化け物(透明化済み)がすっ飛んできて死んだ。
まあ難易度エキスパートっていう高難易度モードの話だし、もっと慎重に動けばよかっただけたし、復活アイテム持ってて完走できたのでこれも酷いとは思っていない。
良い点
- 本家シレンだと3以降失われた肉・仲間モンスターシステムが全て実装されている(シレン6はどうなるんだろう)。
仲間は専用の壺で捕獲できる他、トルネコ3のポポロのような勧誘能力を持ったキャラもいる。ちなみにそのキャラはポポロよりは大分強い。
一部のダンジョンでは「憑依」というコマンドが使え、仲間モンスターに入り込んで直接操作できる。 - 仲間モンスター周りもやりこみとしてかなり機能している。倉庫に登録したモンスターは図鑑に★がつくし、武器盾のように印をつけてカスタマイズできる。
- ゲームスピードを分野ごと(移動や攻撃など)で細かく設定できる。移動も攻撃もキビキビ進む、誰にももっさりなんて言わせない高速プレイも可能。
- 理不尽要素が少ない。ローグライク入門にもおすすめできる。
- 倉庫登録という、シレン5の「タグ」に相当する機能がある。倉庫に登録した武器、盾、仲間モンスターは何度失っても返ってくる。
冒険失敗しようが店で売ろうが別のアイテムに変化させようが遠投しようが、如何なる失い方をしてもちゃんと戻ってくる。
ロスト時の代償はあって、武器盾なら修正値、モンスターなら獲得経験値を半減されてしまうものの、持ち込みダンジョンにかなり気楽に挑戦できる。 - 罠チェック関連のストレスがほぼ皆無。
一回踏んだり、罠チェックで可視化された罠は進入しても発動しないため、罠チェックしたのに勢いで突っ込んで食らうことがない。
更に踏破・罠チェック済みのマスはマップ上で濃い青になるため安全なマスの判別が常に付く。
モンスターハウスも簡単にクリアリングしてガンガン歩ける。 - アイテム欄で装備や壺にカーソルを合わせると、付けた印や中身がプレビューされる。
また壺を覗いている時に左右入力で他の壺を覗ける。 - 倉庫がかなり快適。
壺を中身ごと預けられる。保存の壺ならそのまま預けるか中身を取り出しておくか選べる。床置きでも同様に預けられる。
持ち込み不可ダンジョンに行くときは勝手に倉庫に預けてくれる。
倉庫がパンクすると床置きアイテムが消える等の問題が出るらしいが、5000個まで預けられるためパンクには相当なプレイが必要。 - キャラクター変更システムが良くできている。
異種合成ができる主人公ナナカ、アスカの秘技のような技を覚えて使えるイツキ、武器盾が使えないが魔法を撃ったり巻物を別の巻物に書き換えたりできるシズネ、モンスターの特技を覚えて使ったりモンスターを勧誘できるミコトの4名だが、どのキャラも明確に強い独自の立ち回りを持っている。 - 完全なリプレイデータを保存できるので、リプレイ保存を有効に設定しておけば録画等せずとも後で好きなだけ冒険を見返せる。
リプレイは途中でアイテム画面を開いて覗いたり、見たいフロアを指定して飛ばすことも可能。
さっきのヤバいシーンのスクショもリプレイで撮っている。当時はスクショ取ろうなんて考えている余裕はなかった(ずっと歯を食いしばっていた)。 - 矢などの飛び道具だけでなく、特技や杖など複数回使える要素は全部セット(装備)できる。
壺の中のアイテムでもセットできるし、10種類まで同時にセットできる。
Lボタンを押すとセットした要素の一覧が出てきて、そこから選んで発動できるというシステム。これが結構快適。 - 難易度システムがあり、どのダンジョンも「ノーマル」と「エキスパート」で2バージョン存在する。
難易度エキスパートはモンスター分布などが強力になるだけでなく、ゲームルール自体もいくらか厳しくなっている。
筆者がこの記事でカジュアルカジュアル言ってるのは難易度ノーマルを前提にした話なので、手応えが欲しい人はこのシステムが応えてくれるはず。 - オリジナルダンジョンを自作して配布できるエディットダンジョン機能がある。
筆者はやってないから詳しくないが、言ってしまえば「ダンジョンツクール」みたいなツールが同梱されていて、登場キャラの名前や中身まで弄ったり、独自ルール用の変数を定義して運用できるガチな作りの模様。
システム構築がとにかく素晴らしい。アプデが数年続いたにしても、本当に2010年発売の10年以上前(シレン5DSと同い年)のゲームなのか?ってくらい気配りの行き届いた快適な作りになっている。遊びやすさなら近年の同系統ゲームにもそれほど引けは取らないんじゃないかな?
- キャラ性能周りは実によく出来ている。どのキャラもはっきりと別物になっている割に、使えないキャラとか、強すぎてコイツ一択なんてキャラも無い。
もちろんダンジョン特性に対する有利不利はあるし、もっととことん遊び倒したらまた違ってくる可能性もあるけど。
エディットダンジョンもさらっと紹介したけど相当頭のおかしい豪華さだと思う。RPGツクールとかスーパーマリオメーカーみたいなツールがそのままドンと入ってるって…。
もちろんエディット機能に甘えた作りではなく、ゲーム本編に用意されているダンジョンを遊んでいくだけでも凄まじいボリュームになる。
なんとも言えない点
個人的には別にって感じだけど、気にする人もいるかなあってところ。
- 5chあたりのネタ由来のモンスターがいる。具体的にはおにぎりワッショイとクックルとクマーとスプー。
そもそもシレンとかトルネコを明らかに意識したモンスターがかなりいるのだが、こいつらだけは直球なビジュアルで出てくる。 - ストーリーはほぼ無い。大筋としてはダンジョンに興味ある女の子たちがどんどんダンジョンに潜っていくだけの話。新ダンジョンや新しい仲間などを加えるための会話がいくらかある程度。
- なんか…懐かしい人達ですね…。
せっかくのオリジナルタイトルなのに、そう言いづらくなる要素だと思うとちょっともったいなく感じるかな。一応、名前までそのまま使われているのは権利周りが宙ぶらりんのアスキーアート系だけではあるが。
なお、存在が不快とかそういうことは別になかった。図鑑見たらテキストに元ネタの示唆があるくらいで、通常のプレイ上でフザけてくることは無いので。悪ふざけ部門だとシレン5の装備成長の方が上かもな…。
- ストーリーはまあ、このジャンルだと気にしない人も多いか。最初から「もっと不思議」をやらせろって人もよく見るし。
一方でシレンの時系列を真剣に気にしてる人もいる。スタッフもシレン6のアスカに”ござる”を言わせるために「3より昔」を大前提に時系列決めたらしいしな。
筆者もどちらかと言えば気にする方だけど、あっさりならあっさりで別に良いかなという感じ。
主要人物はキャラデザの方向から割と気に入ったから、続編あったら同じ舞台同じキャラで欲しいねとは思った。
残念な点
- 作者の現在の動向がとくにない…!調べたら2022年まで公式掲示板で音沙汰があったけど、ナナカ以降に何か作っている様子はなかった。
- Steam版はない。基本DLSiteで買うタイトル。ゲーム外で見れる実績はないし、Steamギフトで誰かに投げるとかができない。
- 識別の名前付けのシステムは、シレン5+のチェックリスト機能には及ばない。従来の名前入力型。
機能的にはアイテムの頭文字を入れてLボタンを押したら補完入力ができたり、キーボードからも直接入力ができる程度。本気で識別するならスプレッドシートとか併用しないとキツいかも。
ただし図鑑項目の一つに「今回のアイテム」という項目があり、そこから今回の冒険で拾ったアイテムだけを一覧できる機能は便利。
識別したかどうか曖昧になってしまっているアイテムを再確認できるし、既に手放してしまったアイテムも、ここからアクセスして名前をつけることもできる。 - 「バックグラウンドでもBGMを鳴らす」「バックグラウンドでも操作を受け付ける」設定があるのに「バックグラウンドでもSEを鳴らす」設定が何故か無い。非アクティブプレイすると効果音だけ消えてしまう。
あとキーボード入力の無効化ができないため、バック操作ありにして他のことをしていると誤操作してしまう(通常押さないキーを割り当てまくるという手はあるかもしれないが)。 - 図鑑項目の一つ「合成履歴」へのアクセス性が少し悪い。異種合成したらどんな印がついたかという結果が見れるのだが、アイテム説明やナナカの合成特技の選択中には見れない。
別に、有用かつ推測しづらいパターンが膨大にあるわけでもないので、必要最低限を暗記するくらいは問題ないけど。 - シレン5+のように所持品を常時表示できる機能があるが、別ウィンドウで開くという形式なのでちょっと取り回しにくい。あとただのテキストなのでアイコンとかがなく読みづらい。
ただしテキスト形式+表示領域が可変でスクロールも出来るため、壺の中身や装備の印まで全部表示できるという、この形式だから実現できている良さもある。
大半は一応挙げようとすれば挙がる程度の話。
はっきり体感しているレベルの不満は、識別進捗の把握に自前でチェックシートが要ることくらいかな。攻略の定石というレベルで外部ツールを必要とする作りは、個人的には好ましくない。ただジャンル的に極めて一般的な実装であることも事実なので、これをダメって言ったら結構な作品がダメになってしまうところではある。
ぶっちぎりで悲しいのは続編が期待できないことだな。
前作「七不思議」について
そこで「この前作から先にやるべきか」という疑問が生じるかもしれないため、これに関して筆者の見解を出しておくと、「両方遊ぶ余裕が無いならナナカだけでいい」が「両方やるつもりなら七不思議からやった方がいい」。挙がる根拠としては以下のようになる。
- 七不思議→ナナカの流れで実装内容が劇的に増強されている。
ダンジョン数はおよそ3倍、仲間システムや仲間モンスターシステムを実装、プレイアブルキャラクターを複数人に拡張、罠ダンジョンなどシレンアスカの特殊テーマダンジョンの実装、エディットダンジョンの実装、オプション項目追加を初めとしたユーザー体験の向上など、追加改良は枚挙に暇がない。
実装規模の観点においてはナナカが全面的に上回っていると言えるため、どちらか片方だけを買うという前提なら断然ナナカを勧めるしかない。 - ただし、実装内容が違えば当然ゲームバランスも全く違う。七不思議も一作目にして既に高い完成度に仕上がっており、間違いなく特有の面白さがある。とことん遊ぶつもりなら七不思議から遊んでももちろん面白い。
その場合はナナカの方が快適な作りになっているため、リリース順通り七不思議から遊んだほうがストレスが少ないはず。また、七不思議を遊んでからナナカに移るとゲームの広がりを感じられる点も良い。 - 双方のストーリーに繋がりはない。というのも七不思議は「ONE 〜輝く季節へ」の二次創作(主人公は原作ヒロインの一人の七瀬留美)であり、ナナカは作者のオリジナルタイトルであるため。
筆者はストーリー部分に興味があって七不思議から遊んだのだが、どうやら世界観自体が違っていた。七不思議は原作キャラが不意に迷い込んだ白昼夢のような領域の話なのだが、ナナカは魔法やダンジョンが一般に存在する世界で暮らす人々の話。ナナカのテキスト上で繋がりが示唆されるようなこともない(アイテムやモンスターはかなり共通するが)。
よってストーリー理解の観点においては七不思議をやる必要性はない。
なお、七不思議は別に原作ゲームを知っている必要はない。ナナカ同様にストーリーはゲームの導線として最低限の流れだけで、ほぼキャラを拝借しているのみ。
ナナカを触りまくった後で、七不思議を再度起動してみたけど、筆者の場合はこの順番だとテンポで引っかかってしまうかな。
というのも、七不思議にはゲームスピード関連の設定がない。上の比較GIFだとナナカは筆者にとってベストな速度に調整してあり、キビキビと倉庫を徘徊して適当に素振りしているが、七不思議で同じこと(間違って素振り6回してるけど)をすると、標準スピードで固定のためどうしても操作に重さを感じるほどの差が出てしまう。
とは言え、七不思議だけをやってた段階ではこういう比較材料が生まれていなかったために、やってる当時で不満を感じることは正直なかった。やはりプレイ体験はリリース順にした方が望ましいと思う。
というわけで、いきなりナナカを買うか、七不思議から両方ガッツリやるかがおすすめ。
2023-10-19訂正と追記
七不思議もキビキビ動かす方法…ありました…。Tabキーで倍速モード切り替えがありました。「説明書に書いてありますよ」って問い合わせが2件も。
もちろんウィンドウ上の設定だけ眺めて早とちりした筆者が悪くて、恥の上塗り。重ね重ね申し訳ない。
ナナカと違って更に項目ごとの細かい速度設定は無いようなんだけども、基本動作がこれだけ速ければ全然問題ない。というより筆者がナナカでかけてる設定と違いがほぼ無い。
というわけで、両方やる場合にどっちを先にやったほうがいいかっていうのは筆者的にはもう無い。ナナカを楽しんだ後に関連作に興味を持って七不思議でも問題ない。
あと七不思議は別売りで資料集が出ていて、こちらが「七不思議本編をハード寄りに変化させる3種のパッチつき」という異色のおまけ構成になっている。
これについても情報を頂いたので改めて公式の説明を読んでみたけど、ただ締め上げるだけじゃなくて、アイテムの追加や強化、バランスの見直しなども入っているようで、名前の響き以上にプレイ体験が変わるらしい。これの変貌も含めるとナナカとはますます差別化されているという旨を伺った。
もちろん「ハードパッチ」「オオイカリパッチ」「ハードオオイカリパッチ」という3種の不穏な名前自体は本物で、作者自身がそれぞれ「難易度を上げる」「バランスチェックを放棄した危険な出来」「M素質を開花させてくれるかも」と確実な難易度増を断言している。「資料集とセット」という前提からも、通常版を十分遊んでから体験すべきものだろう。資料集って攻略途中のゲームのやつは読まないものだと思うし。
というわけで「七不思議」「七不思議特殊パッチ版」「ナナカ」と同作者内で3つの選択肢(パッチが3種なのは一旦置いておいて)があって、「ナナカ」は個人的なイチオシなのでやってみて欲しい、「七不思議」をいきなり「特殊パッチ版」にするのは(筆者はパッチ版未プレイだが提示されている情報から判断して)おすすめしないが、それ以外の遊ぶ順番はどうであれそれぞれ楽しめるはず。というのが筆者個人の最終的な見解。
諸々をご教示くださったmumyoさん、NAOさんありがとうございます。
総評
シレン6の前にやってみても損はないと思う。スパイクチュンソフト公式は勿論シレン5をそういった立場に推してるけど、プレイ済みの人も多いだろうし。それに個人的にナナカはシレン3~5より好き。
繰り返しになるけど体験版で大体わかるので、最終的な判断はDLSiteの体験版でしたほうが良いだろう。
2023-10-14お詫び
- 作品ファンの方から「七不思議に対する言い草が酷い」という旨のお問い合わせをいただいて、読み返したら確かに酷すぎたので記事を加筆及び問題箇所を削除。
左が問題箇所で、当時この記事で唯一七不思議について言及していた箇所なのだが…文章構成力の無さがバレバレですわこんなの。「◯◯をけなしているからダメ」という話じゃなくて、根拠も添えずに無駄に強い言葉で結論出してるのが客観的に理解不可能なわけで、あまりに幼稚過ぎる。
この度は不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。お問い合わせもありがとうございます。