- DLSiteで販売中のPCゲーム。先週から遊んでいてクリアした。
エンディングまでにかかったプレイ時間は40時間程度。この記事の執筆時点のバージョンは1.06。
隠してあるが、記事下部にネタバレがあるので注意。
作者の過去作に関しては、巡り廻るが最近メジャーバージョンアップされた時に興味を持って一通り遊んだ。ジャンクエデンは途中で行き詰まって投げたっけかな…。とにかくそっちの縁で購入に至った。
雑感
全容を他のゲームで簡単に表現すると、ルーンファクトリーを戦闘薄くしてMinecraft入れたような内容だった。
- 村作りがウリだが、筆者自身はその辺はあんましていない。というか最終盤は戦略上時間すっ飛ばしまくったから整地してない箇所は色々生えまくってるし、そのくせ氷竜を追い回していた影響か地面は枯れ果てて真っ茶色。魔界か何かか?
しかも時間を飛ばす都合上農作物や家畜も全部引き払ってるし、住人は大体釣りしてる。どこでスクショを撮っても恥ずかしい光景だ。
良い点
- 巡り巡るでも思ったが、ストーリーやテキストが良い。イラストも格段に良くなっている。筆者はこれ目当てで買って、読み進めるために40時間遊んでいた。満足。
- クリエイト部分が本気で作り込まれている。その気になればキャラすら作れるし、ハマる人は村作りだけで元が取れると思う。
- 女の子がかわいい。あと各機能を提供する住人が男女2キャラからの選択制なので女の子だらけにできる。同性婚可能なので主人公まで女の子でも問題なし。
まあ厳密には性別が明かされてないキャラもいるし(公式の想定自体はキャラの並びとかから分かるが)、この辺は一概には言い切れないんだけど。 - BGMの選曲がカスタマイズ可能。店で買ったり住民から渡されるなどしてBGMが増えていき、時間帯や場所に応じて細かく流し分けることができる。
- 農家ゲーということで天候や季節の概念があるが、「竜域」というシステムで表現されている関係上管理が楽。「他の属性の竜に近づく」ことが変化条件になっているため、プレイヤーの意志で変更、回避、保持が可能。
特に水竜をストーキングすればずっと雨が降るので、農作業は最短だと種まきと収穫だけで済ませられる。 - 家畜の扱いが非常に手軽。まずすべて卵生なので、卵を取っておくことで飼育の休止と再開が可能。どのみち寿命も短く、一定の段階で締めて肉にする前提すらあるため、手放すことに葛藤もない。サクサクでいい。
- 住人を放置しても好感度が下がらない。寧ろ日数経過で勝手に上がる。この手のゲームは大抵放置で下がる(=あいさつ回りから開放されない)のでこれはマジで嬉しい。
話もシステムも考えてあるなー。という感じ。特に定型作業をガンガンカットできる設計が素晴らしかった。その気になればほぼ手入れ不要の状態にして放置ゲープレイも可能。
残念な点
- 全体の流れはちょっと淡白。普通のRPG的な戦闘は一切ないのと、住人の構成が不定なため複雑な掛け合いは用意されていないせいかも。
- ゲームが進むほど負荷が目立つ。特に終盤アイテム数が膨大になるとソート処理で頻繁に止まる。
体験版以上の負荷が待っているため注意が必要。遊べなくはないのでなんとかなるが。 - 原始的な素材の収拾など、自動化しきれない点はどうしても面倒。ある条件を満たすと石材木材鉄鉱石宝石を住人に収集させられるが、1人にしか振れないし。
クリア後要素でもう少し何か救済があったりするのかな? - アイテム欄の円形UIがよろしくない。カーソルを合わせるまで名前が出ないし、アイコンもアイテム数が多くなると重なるため俯瞰ができない。
正直ごく普通の縦UIの方が見通しがいいと思う。 - 後半になると整地サポートツールが貰え、それはそれで便利だが、個人的には「対象物に応じて勝手に斧とツルハシとハンマーとスコップを使い分けるツール」とか欲しかった。
エロゲーではない- 上のスクショ貼った時に思ったけど、村(マップ)全体をスクショに収めて見せびらかす機能が欲しくなる。ウディタならなんとなく気合い次第で実現可能な気がするが、まあ難しいかなあ?この面積だと画像容量もでかそうだし。
主に効率面の問題が不満。まあ本作はかなり快適な部類だと思う。いい点の快適性で帳消しにしてお釣りが来る。定形作業を全部放棄して心置きなく永遠に寝れるゲームってこのタイプではかなり珍しいから。
総評
過去作の巡り巡るの世界観やテキストが気に入ったならあり。同一作者なので当然テイストはかなり近く、楽しめる。
クリエイト部分もかなり中毒性が高いので、シナリオとか過去作とか抜きにこっち目当てでいきなり買っても後悔はないはず。というか宣伝の方向性や作り込みからして本来の比重はこっちのほうが遥かに重いだろうし。
現時点で5000本突破と、DLSiteの全年齢ゲーとしては特異な売り上げを見せているが、その成果に見合う納得の内容。
クリア後もまだまだやり込む余地がありそうだが、筆者としては別ゲーも積んでるから一旦お開きかな。まあアプデとか次第。
ネタバレ考察
以下、隠された文書を2種類読んだ上で、エンディングまで遊んだ前提での、世界観に関する超ネタバレ内容。
そこまで行ってない方は絶対見るべきではない。
あと、筆者は勿論ただの一般プレイヤーなので、書いてることが合ってる保証は一切ない。
以下をクリックで開きます。
話の全貌
- 2030~2031年、異星人による自動兵器36機で地球殲滅が行われた。異星人は資源を回収し、機能停止した機体は放置して帰った。
- 2032~2054年、破棄された10機が再起動。何者かが10機の新たな管理者になり機体を再構築、竜として地球の再構成を開始させた。
- 10499年、地球再構成計画の最終フェーズ、竜の殲滅を開始するが問題発生。そのフォロー作業がゲーム本編となる。
異星人の手で一度完全に滅亡し、その時の置き土産で作り直された地球の物語。ただし異星人が明確に関与している箇所は最初の最初しかない。目的は略奪だったのだろうか?
年の数え方は不明だが、地球かつ2030年という現実感の強い年数から、素直に西暦と捉えるのが妥当だろう。殲滅以前は現実そのままの地球だったと思われる。
新しい管理者については思い当たる存在が全くわからなかった。何者で、殲滅完了したはずの地球にどこから湧いたのか?ノナというか巫女にはその遺伝子が組み込まれてそうだが、結局正体は見えない。巫女たちのオリジナルとしたらまあ女性なんだろう、程度の人物像。
…こじつけレベルの思い当たりでいいなら、ノナは巡り廻るに出てきたティチェってキャラと顔立ちが似ていて、ティチェ自身、何か特別な扱いのキャラみたいだったけど、関係あるかなあ?まあ、まずドラゴノーカと他作品との接点が現状特に見つかっていないわけで、考察というより妄想だけど。
竜の正体と役割
異星人のテクノロジーをルーツとする、10種類の完全自立型兵器。元々は地球殲滅用だったが、何者かが地球再生用に再構築した。
再構築の際、ベースとなるDNAが登録されているので(トカゲか何か?)、地球殲滅当時は竜の姿では無かったと思われる。
機体ごとに役割が振られており、字面や描写から察すると各竜の結びつきはこんな感じだろう。
- 01号機 地上洗浄 火竜
- 02号機 岩盤構築 岩竜
- 03号機 植物育成 樹竜
- 04号機 水質改善 水竜
- 05号機 地上冷却 氷竜
- 06号機 光源管理 光竜
- 07号機 光源調整 闇竜
- 08号機 空気清浄 風竜
- 09号機 毒素吸引 魔竜
- 10号機 毒素破棄 ぐら
まず1号が地球環境のリセット。火で洗浄…?となるかもしれないが、ノナが持っていた「灰すら残さない火炎放射器」を思い出せば容易に納得できるはず。便利ギャグアイテムと見せかけて、火竜の役割の重要な物的証拠だった。
そして2~8号が再構築と保全。これはまあそのまんま。
そして9号と10号はセット。まず9号が「毒素」を吸引し続ける。ただし9号は毒素を溜めるだけで浄化などはできない、あるいは浄化が追いつかない。よって限界が訪れたら「毒素破棄」の役割を持った10号が9号そのものを処分する。という関係性と思われる。
10号の能力が発揮されるのは最後の最後、ゲーム本編における最終決戦であったため、人々は長所を理解することができず、ゲーム冒頭の廃村状態に至る。
地球再構成計画に起きた問題
ざっくりまとめるとこんな感じか。
- 人類の遺伝子データが30%欠落。他の遺伝子を配合して修復したが、生殖能力を失った欠陥生物になった
→驚異のエルフ耳率、獣人、妖精はこの副産物?性別自体はあるっぽい。
→これだけ欠けるということは、正体不明の新規管理者は地球人類の遺伝子を持っていない?こいつもやはり異星人?
→その後再度修復して「完全修復」「復元成功」しているようだが…?代替手段のはずだったクローン生殖だけが性知識として語り継がれてしまい、無理だと思い込んでいるだけ?
→いずれにせよ、この問題が計画を460年ほど遅延させた。全体の期間を考えると誤差に近いが、これが命取りになったことが以降のログの密度で分かる。 - 毒素除去機体=9号機=魔竜が毒素の吸収限界を迎えて暴走
→「早期破棄を推奨」とあり、そのための10号もいるので、排除されること自体は既定路線だった。しかし想定よりも早く限界が来てしまい、背中の集落は崩壊。他の竜を攻撃したり、巨獣や害獣を製造した。
→そもそも毒素ってなんだよ。となるが、展開から察するに、9,10号以外の竜が、固有能力や高いスペックの代償として発している排気ガスのようなものだろう。大気がそれで満ちると、竜の機能に悪影響があると思われる。というか、改変前の役目だった地球殲滅に立ち戻る?「空気清浄」ができる機体が別にいるから、実際はガスとは違う概念だろうけど。 - 各機体の抜本的な保守手段がないため、計画途中でシステムが綻び始めてしまった
エネルギーは8000年以上も保ったが補給手段は無し。自己修復機能で対応しきれない損耗もほったらかし。 - 紆余曲折ありながらも最終フェーズ、竜殲滅にこぎつけたが、実行プログラムのインストールに失敗
竜殲滅プログラムのインストール先と意図
インストール先はぐらちゃんで、おそらく全自動で1~8号を破壊、最後にぐらちゃんに元々備わっている能力で9号を抱えて射出する内容だったのだろう。その大役に反してぐらちゃんは最弱の竜だったが、後半の超兵器の製造と装備もプログラムに含まれていたか、あるいは本来は「戦い」じゃなくて「作業」のはずだったと考えれば不思議はない。1~9号は汚染での暴走がなければ応戦する理由がないし、9号の汚染がなければ巨獣もいないわけで。最期の時に正気で稼働している頑強さがあればよかったわけ。
意図は計画に躓きまくってヤケになっての自爆行為…ではなく、文書から想像できる「人類は(多分)本当は自力で繁殖できる」「竜は保守限界が来る」という点から、人類を竜と決別させるという、計画通りの最終工程だろう。どんなに苛烈な攻撃で相手の竜を倒しても、背中の集落は保護されて残るが、始めから竜は倒される前提で設計されていたためか。
本編の状況だと「竜捨てて地上行っても巨獣と害獣の死地やんけ!」となるが、こいつら自体が計画の綻びによって竜から生じたイレギュラーであり、やはり竜を放棄しないと解決はしない問題。飛竜で地上を探索すると分かるが、害獣がいる以外は各竜と同じような環境になっており、竜、巨獣、害獣さえ尽きれば人は地上に住めるはず。それに竜の死後も、抱えていた集落や竜域効果は丸々残っているし。
主人公の正体
前述の竜殲滅プログラムのインストールが失敗した際、その内容を手動で実行するために「システムの一部を素体に移した」と述べられている。
- この「素体」というワード、実は事前に登場している。主人公の性別選択である。
よって主人公の正体は「竜殲滅プログラムをぐらちゃんに成し遂げさせる、ぐらちゃんの分身(化身)」といったところか。
記憶は失ったんじゃなくて、そもそも生まれたばかりというパターンだろう。
ぐらちゃんの修理で好感度や回想が可視化されるのはシステム的な繋がりがあるから、HPや病気の概念がないのは竜の強度や自己修復機能を受け継いでいるのかもしれない。
あと個人的に、主人公だけやたら色使いが地味だと感じていて、グラフィック差し替えとか可能だし敢えて没個性にしてるのかな?と思っていたが、単純にぐらちゃんをイメージしたカラーリングだったのかも。
一応、他にも根拠があるからそちらも触れておこうか。
遠くから射出された…という線は考えにくい。どんな武装を積んでいようと、マップ上では竜同士が重なるレベルまで接触しないと戦闘にならないので、竜域外のものに向かって射出なんて不可能。飛竜はやや未知数だが同様に無理なはず。ユニの品揃えは竜域に大きく依存しているので、竜域を超えた距離の運搬は現実的でないと言える。
記憶を失う前の主人公が何らかの意図で事前に潜伏していた…という線は残るが、やはりぐらちゃんが製造したと考えるのが出自として一番自然だろう。
ただ、主人公には記憶(=使命)が無く、竜殲滅に繋がるタスクを課していたのはすべてミミミなのが気になる。記憶がないのは一応システムの老朽化で片付けられるが、ぐらちゃんの原住民じゃないのにスッと主人公に取り付いて最後まで導いたミミミはなんなんだ…?文書の内容とどこかで繋がってるのかなあ。
- あと素体のくだりから最後のログまでに20年も空いている(10520年)のも気になったが、この部分はゲーム内日数依存もありえるか?筆者は110日程度経ってたが、過去作の巡り廻るの1年は滅茶苦茶短かったからなあ。
結末について
全ての竜がいなくなり、地上での生活を余儀なくされる。
ただ恐らく今後害獣が新規に生まれることはなく、また緊急開示データを読む限り、復元人類は気がついていないだけで本当は生殖機能があり、竜の消滅も地球再構築計画の完成形…なはず。
絶望的だけど頑張るぞ!えいえいおー!みたいなノリで終わったが、実際割と希望はあるかな?エロもあるかな?
おまけ:各キャラ名前の由来(不完全)
基本的に、役割に関連する単語の引用または組み換えで命名されている。
しかし一部はよく分からん。
- ノーカ(男主人公)、カノ(女主人公)→農家
- ノナ→?
- ミミミ→特にない…か?
- ユニ→輸入
- イサヤ→野菜
トト→トマト - カーヤ→鍛冶屋
ロレン→? - キルト→そのまま
グレイブ→エングレイブ(彫金) - クック→そのまま
バジル→そのまま - アニー→アニマル
ディール→動物(オランダ語) - フラスカ→フラスコ
ビーカー→そのまま - ランカ→ランカー(大物の魚)
ベイト→ベイト(釣り餌)