ゲーム感想:ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち シナリオクリア後

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たちドラゴンクエストVII エデンの戦士たち

 クリアした。ここまでの所要時間は冒険の書計測で85時間。今回は謎解きや戦闘の難易度が大幅に緩和されたため、寄り道しないでさっさと進めば65~70時間程度で到達できたと思う。それでも相当なボリュームと言えるだろう。
 ちなみに本編中にまとまった規模の追加シナリオは存在しなかった。なので石版案内人の素性等は謎なまま。恐らく配信シナリオで明かされると思われるが。

 やっぱり改めてやると中々面白いシナリオだ。誇張抜きにしても歴代で一番好きかもしれない。それでいて最大の欠点であった進行難易度が大幅に改善されたため、誰でもちゃんと最後まで楽しめそうなバランスになっていたのは大変良かった。

 これ以上普通に書くとグチャグチャな文になりそうなので、以降は良かった点、良し悪しの判断が別れる点、悪かった点を分けて記述していこうと思う。理由など、特別述べたいものがある点については追加で詳細を書く。

・良かった点
戦闘参加NPCが戦闘中明確に視覚化されたこと
 元々助太刀系のシチュエーションが好きだから、これはかなり嬉しいポイント。逃げ出してもいいような立場なのに戦いに参加する木こり、くるくる仲間が変わるダーマ勢、やたら頼もしい老楽師あたりが加勢してくれる箇所は中々楽しかった。
 ちなみにこれは8の時点でバッチリ実現していたが、こちらはチャゴスくらいしかいなかったから全然嬉しくなかった。

BGMのクオリティが高いこと
 確か公式でもセールスポイントにしていたと思う。オーケストラ音源なんだっけ。私的には「失われた世界(封印世界のフィールドBGM)」が好き。

転職で外見が変わるようになったこと。また熟練に必要な戦闘回数が全体的に下方修正されたこと
 これらによって転職の苦行度がかなり減った。欲を言えば「1戦闘=熟練経験1」って言う根本をもっと甘めに修正して欲しかったけどね。専用経験値制で後半はブーストし放題だったBDFFと比べるとまだまだダルい。あとマリベルは可愛い。

石版収集に複数のサポートをつけたこと
 7のリメイクという発想に於いて、開発者・ユーザーの誰もが徹底したメスを入れるべきと考えたであろうポイント。
 中でも「石版レーダー」と「次の石版」コマンドは滅茶苦茶優秀で、隠しダンジョンの石版もちゃんと探し出せる。これがなかったらかなりやってられなかった。確かPS版じゃ神さまとか石版の段階で投げた気がするし。

戦闘のテンポを大幅に改善したこと
 歴代でもトップクラスの速度になっていると思われる。PS版は長いエフェクト(火炎斬りですら妙に長い)で、いかなる呪文特技でもダメージを1体ずつ処理していて地獄だったので、これは大変素晴らしい改善だ。後のドラクエにもみっちり受け継いでいってほしい精神。

逃走数全滅数といったネガティブな戦歴が記録されないこと
 そもそも今回は称号システムがない(8や9は進行状態や戦歴に応じた称号が得られた)ので、別にそういう行為が数えられようと痛くも痒くもないが、助かる人は助かっていると思う。

・良し悪しの判断が別れる点
興味のない人間上級職を極める意義が皆無になったこと
 他職にも反映される要素が一切ないため、別に目ぼしいと思わない人間上級職はゴッドハンド・天地雷鳴士・勇者の踏み台でしかなくなった。
 ただし、その分各上級職の呪文特技レパートリーは劇的に強化されており、簡単に最後まで満足に通用するほど充実した戦力を手に入れることが出来るようになった。
 特技コンプとかがしたいやり込みプレイヤーにとってはかなり残念な変更だろうが(モンスター職を利用すればPS版に近い環境は作れるが、より長く険しい上完全じゃない)、シナリオを普通に楽しめればいいって人にとってはかなり易しい変更になっている。

 ごちゃごちゃしたんで結論をまとめると、大多数と思しきライトユーザーには明らかな救済。一方やりこみ系コアユーザーからすると人間上級職がほとんど無意味に映る。ということ。比率を考えれば良い判断ではあるのかもしれない。
 私としては結構不満。せめてマスターすれば特定の呪文特技だけは他職に持っていけるとか、わずかでもいいから何か欲しかった。

すれちがい石版によって楽なレベル上げダンジョンを作れること
 オンラインの10はともかく、最近のドラクエは大した手間やリスク無しに破格の経験値を狙える最終訓練場を設けていることが多い。形式は色々あるが、8辺りからは大体存在する。それに習った感じだろうか。
 後先考えずどっぷり使ってしまって以降のヌルゲー化に嘆く人もたまにいる要素だが、進行に詰まらない限り稼がない私としてはひたすらありがたい。

・悪かった点
主人公たちよりも固有グラフィックを持つNPCのほうがポリゴンモデルを作りこまれている気がすること
 何故だろう。逆のほうがいいはずなのに。主人公勢→NPC勢って順番で作ったから後のほうが小慣れたみたいな感じか?そうなら最後に手直しして欲しかったなあ。

通信要素の環境整備が甘いこと
 トップクラスで駄目に感じたポイント。理由をいくつか列挙する。
 ・石版自作の解禁がルーメン編クリアとなっている。
  ・これは甘く見積もっても20時間台、平均ではどう考えても30時間以上要する進捗である。遅すぎる。発売一週間以内にここまでこれたユーザーは何割いるのだ。
 ・自作でない固定移民から貰える石版を他のユーザーに配れてしまう。
  ・内容の同じ石版は1つあれば十分、酷ければ一度クリアしていれば無用の長物なのに、何故配布可能にしてしまったのか。
  ・固定石版は一律配布不可にして、石版自作自体をもっと早くに解禁させるべきだった。
 ・すれちがい石版の仕組み説明が煩雑で理解しにくい。
 ・持てる石版数がやたら少なく、すぐ廃棄を要求される。そのくせ捨てる際にやたら入念に確認してきて数を減らすのに手間がかかる。
 ・インターネット酒場の仕様が酷い。
  ・わざわざセーブして入っても、手持ち石版が満杯だと即退場。
  ・石版交換機能を再度使用出来る「24時間後」が、自分で記憶してないと全く分からない。単純に毎日0時に復活するか、もっとわかりやすくするべき。
  ・交換に24時間待った挙句スライムだらけの森(酒場解禁の過程で絶対手に入る)1枚だけとか泣きたい結果が多い。
   ・貰えるのは必ず3枚にして、更に固定石版はサーバー側で削除か差し替えして欲しかった。
  ・セーブ頻度が過剰。受け取る時にセーブしてんだから出る時は別にいらなくないか。

AIの行動選択が一部駄目なこと
 特に酷いのは以下。
・死者がいる→ザオリク>ザオラル>その他回復行動
 ザオリク無しでザオラルだけ覚えている場合、自分が瀕死でも不確実な蘇生を優先する。死者1名以上で、瀕死や状態異常のキャラが混じった状態で立て直しをAIに任せるとほぼ詰む。
・眠っているキャラがいる→キアリク>目覚めの歌
 ・眠りを解除したいだけなら同じ効果で無消費かつマホカンタやマホトーンの影響を受けない目覚めの歌を使うべきなのに、愚直にキアリクを使う。ザオラルはまだ分からなくはないんだが、これはアホとしか言い様がない。
・複数の雑魚敵がいる→敵を撃破できる可能性が高い攻撃≧敵をまんべんなく弱らせる範囲攻撃
 やたらかまいたち正拳突きを使いたがる。ただまあこれはイオラやへんてこ斬りといった高威力な範囲攻撃を習得させればそれなりに対策となるが。
・オーバーキルしたがる
 なんか敵のHPが満タンだと、そのHP量を考えず最高の攻撃を使いたがる傾向がある気が。スライムにイオナズンとか正拳突きとか。

メッセージ関連のテンポが悪いこと
 戦闘テンポが劇的に改善された一方で、それ以外の箇所の煩わしさが浮き彫りになっている印象。それが顕著なのが会話などのメッセージ。
 メッセージはノーウェイトにすることができないし、モンスターじいさんやスタンプ交換のプチマージなど、何度も会う必要があるのに毎回毎回説明セリフを吐くキャラなどが非常にうっとおしかった。
 メッセージスピードを設定可能にし、また何度も話しかけたり調べたりする対象物のメッセージはちゃんと考えてほしかった。

ラストの仲間編成が改善されていないこと
 ・・・まあ難しいのは分かるんだけど、誰か1人だけはマリベル宅に待機させるしかないっていうのはなあ。会話システムに水を差す仕様だから出来ればなんとかして欲しかったんだが。

タッチ入力やスタートセレクトを活かす気がないこと
 テリワン3Dとかでも思ったけど、こんなショートカットにうってつけな入力系統を何故スルーするのか。
 口笛みたいによく使うフィールド呪文をワンボタンワンタッチで使えるように登録出来るとか、色々活用の幅があるはずだ。開発陣ならマクロ的な操作の良さも分かってるはずだし、いい加減前向きに検討して欲しいところ。

召喚NPCがカメラ的によく見えないこと
 恐らく通常のNPC枠に立ってしまうと、シナリオ上のNPCが加入している時おかしくなるからそれを避けたのだろうが・・・。
 頑張ってのろいのランプ極めたのにちょっとがっかりだった(賢者とかで事前に試すべきではあったが)。ポリゴンモデル自体はちゃんと作られてるっぽいのも相まって結構残念。あとビッグバンとか一部のカメラアングル変更技で妙なことになってる。
 一応言っておくけど、特技自体はかなり有用(純粋に戦力が一体増える)なのでその辺は誤解なきよう。

福引所で何の価値もない5等(福引券還元)ばかり出ること
 完全に無駄な引っ張りな癖に、異様に出まくって福引券の消化に異常な手間を掛けさせる。
 5等の確率を下げるべきというか、福引券還元賞自体が明らかに不要だろう。

現役魔物ハンターがいないとモンスター集めが全然進まないこと
 まものならしを他の職にも引き継げるか、これと同じ効果で何度も使えるアイテムが欲しかった。実質的な職制限が入るのはかなり痛い。

・結論
 とまあ、思い返せば粗は沢山出てくる。露骨に詰めの甘さが見える粗もある。しかしそれでも大幅に改善された良リメイクと断言できる。この難易度親切度ならクリアする事無く投げてしまうプレイヤーの割合は大幅に減ることだろう。
 シリーズファンでまだ7をやったことが無い方には、是非この3DS版をプレイして欲しいものだ。確実に楽しめるはず。