アニメ感想:Aチャンネル BD第3巻

Aチャンネル 3 【完全生産限定版】 [Blu-ray]Aチャンネル 3 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

 3巻。ペースを少し上げた。

本編

Aチャンネル 第5話「海 -An ocean far away-」

雑感

 Aパートが1学期終盤と海の準備、Bパートから夏休み。
 原作の話をすると、この海回は4巻中唯一の複数話(2話)構成+遠征回だったのに、盆過ぎだったためクラゲだらけで大失敗。到着から帰宅までの流れがたった2ページで描かれ、前後のやり取りがメインという珍妙な内容だった。
 が、アニメ版では素直な内容に補正されている。ちゃんとシーズン中に行き海を楽しむことができている。アニメで詳細になったやり取りを見た感じ、トオルとナギを気乗りさせるのに掛かった期間が結末を分けたのかもしれない。

 オーディオコメンタリーはユタカ役の又吉愛氏がゲスト。3話で出るべきでは?とも思ったが、5話はユタカの巨乳ぶりが明かされる話なので、もしかしたらこれを見越した采配なのかもしれない。

特記事項

るんの作ったぬいぐるみ
 原作だとナギへのプレゼントになるぬいぐるみだが、るんの部屋に飾ってある。原型は前に作られていて、後々ナギやトオル用に量産したってことなのかな。

あと2キロ
 確か前の話は「夏までに3キロ減→1キロ増」って内容だったと思うが、この段階までに2キロ減らしたのかな?

1学期終業式
 アニメオリジナルの描写…だが、校舎を映しながら校長のスピーチが流れるという演出につき内部描写なし。この時代にブルマ体操着を押し通した強者がどんな面してるのか見たかったから残念だ。…キャスト見たら佐藤先生と同じ(小野大輔氏)だった…。
 しかし、トオルのリュックにリコーダーらしきものが刺さってるのが気になる。原作のやり取り的に1年は使わないような感じ (選択科目なら音楽はあるらしいが、トオルは取ってない。)だったが。

海へ
 前述の通り原作だと即終了した展開なので、本作で大規模な移動がちゃんと描かれたのはこのアニメ5話が初めて。新鮮だ。
 ちなみにアニメ版は具体的に行き先が描かれており、江ノ島に来ている。まあ東京から電車だけで行くには現実的な位置関係。

べっこう飴ジュース
 幻らしい。確かトオルはべっこう飴好きそうだったな。展開の内容的に恐らくるんも。
 しかしべっこう飴って原則砂糖と水だけで作る飴だ。ジュース化の余地ってあるのか…。

ユー子の夢
 るんとナギから召使の如く葉っぱで扇がれつつ、人気のない南の島で優雅にくつろぐという、献身的なタイプの彼女からは想像しがたい要素をいくらか含む夢。

観光
 海だけでなく江ノ島を少し観光。しかしこれもアニメオリジナル。
 原作は海がクラゲで駄目だったにしても、観光は出来たはずなんだよな。現地取材の時間が無かったあたりが実態なんだろうか。

日焼け
 るんは日焼けしない体質らしい。でも地球人だそうだ。

ドラマCD
 コメンタリーより。又吉氏を初めやたら意欲的だった。ユタカの絡みをもっとやってみたいそうな。
 そういえば近年は、アニメ化の前にドラマCD化を経由してる作品 (いざアニメ化すると高確率でドラマCD完全無視のキャスティングが行われ、賛否が分かれるのが定番だった。)をめっきり見なくなった気がする。同時にアニメは原作枯渇も指摘されてきている(アニメ化の敷居が目に見えて下がってきている)が、そのせいかな?

ユタカの目
 ユタカが普段綴じ目で活動しているのは、いざというときだけ開眼することで魅力を格段に高く見せるというギャップ戦略の一環では無いかという説がオーディオコメンタリーで出ていた。
 まあ作者の思惑としては合ってると思うけど、ユタカ自身がそういう発想を持っているとは思えんな。そういうことをする計算高さや達成意欲は基本的に感じられない。というか上の説を言ってた面々も「ただの妄想なので」と切り捨てている。
 そう見えないのもわざとやっているのだとか言われたら驚くしかないな。

るんの目
 スイカの種みたいな目が多いことがコメンタリーで話題になっていた。
 正直アニメ版のるんちゃんはこの目使いすぎだな。ギャグシーンでも何でもないところでも乱用している。マイナスポイントと言っていいだろう。実はBD/DVD版5話は幾らかのシーンが普通目に修正されているそうだが、それでもかなり多いと感じた。

Aチャンネル 第6話「真夏の夜の… -A school in summer-」

雑感

 夏休み真っ盛り。登校日と夜の校舎。
 当時ネット上でかなり変な角が立ったらしいタイトル。一応これの根本的な元ネタはシェイクスピアなんだが…。
 だがそういう風評被害的な観点を差っ引いても、やたら無理のある展開だらけでガタガタしたハズレ回だった。詳細は一部の特記事項で語る。ご嫌ならそちらはスルーして頂きたい。

 オーディオコメンタリーはシリーズ構成の浦畑達彦氏がゲスト。アニメ化にあたって原作の話の順序を入れ替えた話をしていた。
 Aチャンネルは掲載誌の発売時期に依存した話を展開しているから、それを季節ごとにまとめた内容にしたとのことだ。キルミーベイベーとか他の日常系もそうなっているな。
 何故かラスト恒例の一発ギャグは初の未遂。初めてCパートが来たからタイミングを誤ったか。いや別にやんなくても良いけど。

特記事項

ボニョキーホルダー
 るんの部屋で背景の一部として登場。
 原作だとユー子がホラー映画の帰りに買ったものだが、そのアニメ版である+Aチャンネル2話では表現的な関係で「謎の赤い鳥ボノ」という別作品になっていた。
 しかしこうして登場している以上、ボニョ自体がアニメ版の世界から消えたわけでは無かったようだ。

変質者佐藤
 原作では痴漢呼ばわりが4コマ目だったので、場面転換で有耶無耶になることで事なきを得ていたが、アニメだとその先がある。視線が痛いな。

火事か
 実は派生展開が多い重要エピソード。アニメだと今回の話にセットで入れられている夜の校舎回で引っ張られただけでなく、接点がまだ弱いユタカたちの中でユー子を印象づける要素となっている。
 SEを聞いた感じバケツにはしっかり水を入れていたみたいだが、その間にもう少しやることを整理出来なかったのだろうか。モップとかパッと用途が思いつかないではないか。
 コメンタリーでも言っているが、本来火事ネタは夜の校舎ネタとは全く違う時期にやった話。それを1話につなぎあわせた事自体は正解だと思う。夜の校舎のトオルのギャグが分からなくなるからね。

ホットのMAXコーヒー
 火事ネタは原作だと長袖シーズンにやってるのだが、アニメ版は構成の都合上8月。なのによくホットなんてあったな…。
 一応ありえない話じゃないが、高校の自販機となるとハードル高いんじゃないか。ごく一部にしか冷房がなく、かつ若年が主要購買層の環境でまともな需要があるとはどうも思えない。

ユー子の忘れ物
 原作では何を忘れたのか不明(話の開始も校門に集合する段階から)だったが、アニメだと夏休みの登校日に配られた進路希望アンケート用紙という設定に。
 ナギは「始業式まで放置でいいのでは」と適当に諭すが、「ちゃんと考えて書きたいのですぐ回収したい」のだという。これが6話において最もダメなところ。

 こんなの、アンケート内容をナギ達から教えて貰い、回答をノートにでも控えて新学期に書き写すのが労力的に一番妥当だ。写す当日は忙しいだろうが、足労するよりはずっといい筈だ。
 まあそれでも取りに行きたいという気持ちは分からんでもない。…が、行くなら日中に行くのが常識だ。夏休みとなると開いてない日もあるかも知れないが、夜はより一層開いてないよ普通。

 つまりこの忘れ物は、ユー子が夜に学校へ行こうと考える動機として到底成立しない。キャラが軽く崩壊してる。
 元々原作の段階で無理を感じるシチュエーションではあったのだが、動機の核は隠していたので想像で補完可能 (例えば忘れ物が携帯だったら、放っておくと先に登校した生徒に盗まれたりする危険性があるので、一刻を争う理由としてそれなりに筋が通る。また、集合前のやり取りが未描写のため、夜行くことの発案者がユー子自身ではない可能性があった。あと一応付け加えるとこのエピソードは原作だと夏の話ではない。)だった。迂闊なフォローで駄目にしたと言えよう。

メールの打ち方
 2者間で明確に差が出ている。
 ユー子:反射的な返信でも顔文字絵文字が豊富。ちなみにメール内でも関西弁。
 ナギ:ユー子の要請をウザがってるというのもありそうだが、かなり簡素で余計な装飾は一切していない。

葵ヶ丘高校のセキュリティ意識
 これは前述の苦言とは違ってどうでもいい話だが、気に留まったからには書いておく。
 施錠は正門と校舎の各入り口のみで、入ってしまえば各教室はノーガード。ザルだ。特別教室なんかは夜間に限らず未使用時は施錠するものだと思う。宝物庫や火薬庫とそんなに差はない。

 まあ低いという事実を述べたいだけで、改善して欲しいわけではない。忘れ物の件とは違って整合性には関係しないし、徹底したところで話が回りにくくなるだけだ。付け入る隙を設けるのは話作りの基本。
 ちなみに原作中ではこの話に限らず、調理室とか化学室とか生徒が入れる部屋はなんの制限も手続きもなくパッと入っている。つまりこの話だけたまたま甘いわけではなく、根本的にその辺が緩い学校というわけである。ブルマの件といい、益々校長の顔が見たくなってきた。

女子トイレ
 ついでにもう一つ他愛無い話。
 この女子トイレ石鹸がない。ボトルはないし、固形石鹸も置いてない。学校の手洗い場でこれは問題だ。女子トイレとなると生徒からも苦情が出そうなものだ。
 実態はただの描写漏れだろうからどうでもいいけど。

ろうそく佐藤
 正直、校舎内で火持って徘徊って冷静に考えなくても論外だな。しかも本人は身体が弱く、実際発作で倒れたわけだから、トオルが茶化しで火を消してなかったら大惨事の可能性があった。
 うっとりしてる様も含めて色々とアレなので、先生には是非改めて頂きたいところだ。

佐藤への制裁
 るんに抱きついた先生、原作だとトオルは彼の顔面へ洒落にならないパンチを即座にぶち込んでいるが、アニメだとベッドをひっくり返して下敷きに。
 …これは表現が柔らかくなったと考えていいのか?謎だ。少なくともオーディオコメンタリーの「これトオル1人で佐藤先生運べたんじゃね?」ってツッコミは面白かったぞ。極めて瞬間的・感情的な力だろうから無理だと思うけど。

忘れ物の結末
 原作同様忘れたまま出てしまうが、そのことに気づくタイミングと対応が異なる。
 原作では学校から出た直後に気づいており、またその4コマの題が「リターン」なので、また入り直して取りに行ったことが想像できる。
 アニメだと気づくタイミングが帰りの電車に乗ったあと、かつラストで「結局無駄足」と独りごちているため完全に諦めている。前述のように動機がおかしい事もあって踏んだり蹴ったり感が凄い。

ユー子の部屋
 初のCパートで部屋お披露目。テディベアが異様に多い。長い棚にずらっと置いてある。抱き枕になるほどデカいの持ってるだけはあるな。

特典映像

+Aチャンネル 第5話「見せて」

 5話の準備パートの一部。お洒落好きのナギがメガネや髪型といった頭部に手を付けない理由の話。まあ原作で散々言及があるのでお察し。
 アニメオリジナルの演出としてユー子がちょっとだけメガネを掛ける。これは良いものだ。ナギも可愛いカット多め。

+Aチャンネル 第6話「探検」

 ホラーゲームネタ・殺し屋 (多分キルミーベイベーとのコラボ。同番外編には他にもはるみねーしょん等の他作品ネタがある。)ネタの番外編。殺し屋ネタは声優陣のノリがいい。やっぱり殺し屋ユー子の通り名は弱そうな感が凄い。まあ実際問題通り名を裏切らない弱さを見せつける。
 しかし原作でもそうなんだが、ホラーゲームやってるのが誰の家だか分からない。殺し屋ネタとセットだとユー子宅っぽくはあるんだが、ゲーム(ホラー系ではなく、TVゲーム全体と取れる)向いてないって言われてるし、明らかにゲーマーらしい描写があるのはトオルとナギだけなんだよな。謎だ。まあどこでもいいんだけど。

AチャンネルTV 第5回,第6回

 今回は∀チャンネルでキレのいいネタが結構多い。でもるんちゃんにハゲネタは酷だからやめて差し上げて頂きたい。

ボーナスディスク

 収録曲は以下。
Mermaid Sisters(ユー子)
 5話挿入歌。夏をイメージした曲。3巻のパッケージといい、ユー子は基本的に夏担当なイメージ。ナギ秋るん春トオル冬。

探検のススメ(ナギ 他3人のセリフあり)
 6話挿入歌。ストーリー調の曲。
 夜の校舎を徘徊するというのは本編共通だが、単純に遊びに来たかのような調子の上、オチも本編とは完全に異なる。こっちのほうが好きだったりする。