漫画感想:双角カンケイ。 第2巻(最終巻)

 完結。単行本の商品情報等には完結の旨がないので、わりと寝耳に水。

 隠し通すことはやはり無理で、とうとうちさき以外の全員にバレてしまったが、なんと嘘は嘘のまま、正式に入れ替わって生きていくという結末へ。交際してきた「ひまり」を愛しているちさきの思いと、外見も中身も「あいり」と同じでいたかったひまりの思いを最大限に尊重した結論のよう。
 意外性は結構なものだが、歪な部分をそのままもみ消したので釈然としない。タチ世界の百合は青春時代の一時の迷いとかではなく、極めてガチなものなので、恐らくこの嘘は墓まで持っていくことになる。いくらそっくりな双子とは言え、失うものは決して少なくない重い決断。

 厳しく言うと、ちさきを欺いて交際してきたことこそが本作最大の爆弾だったはずで、それを起爆させずに逃げおおせてしまった時点でベストな終わりではない。元のひまりが実質失恋するような結果も生んでいるが、その辺りが駆け足になってしまった点もよくないだろう。
 2巻で打ち切られてしまい、ちさきとの関係を整理するための尺が確保できなかったから、比較的簡単にまとまる隠蔽オチを選ぶ他なかった、としか思えない。

 きららじゃよくあることだし、人を選ぶ内容(きららでドロドロ要素やディープ百合はかなり不利)だったから致し方ないが…もう一巻でも猶予があればベストな着地が可能だったと思うし、そもそも発覚すれば様々な可能性を秘めた新展開が出来たはず。非常に残念。
 一応、無理矢理な展開ではなく、相応に説得力はあったので、それで納得するしかないか。桜Trickとかなえるはまだまだ連載中なので、そちらを引き続き見守ろう。