小説感想:スーパーミラクルかくれんぼ!! 解決!なんでもおたすけ団! !

スーパーミラクルかくれんぼ!! 解決!なんでもおたすけ団! ! (集英社みらい文庫)スーパーミラクルかくれんぼ!! 解決!なんでもおたすけ団! ! (集英社みらい文庫)

 シリーズ3巻目。読み終えたので以下に色々書くが、ネタバレもあるので注意。


全体的な内容
 四天王の更に上の位である月泉に難癖を付けられてしまったので、彼の課題をこなして四天王の地位とかくれんぼ生命を死守しようとする話。
 今回はキジのキギキチが中心的な扱いを受ける。正直なところ、普通のキャラ目当てで読んで来た人にはちょっと興味度が上がり切らないところはあるかもしれない。あくまでマスコット程度の認識だからどうしてもね。
 まあ見せ場の比率が若干違う程度で、他のレギュラーキャラが極端に割を食ってるわけではない。一度くらいはあってもいいかなと思える程度にはちゃんとまとまっていたので、安定感は相変わらずと言ったところか。

段位表
 1巻の序盤に出てきた段位表が冒頭に再掲載されているが、白影・月泉・四天王への昇段条件まで明示されたバージョンになっている。
 四天王は前巻のやり取りでお察しだが、四天王以上の有段者に認められること。この巻のやりとりを見るに、前四天王に認められるだけでも取り敢えずは昇段できるが、月泉白影の裁量であっさり蹴落とされることも可能性としてありそう。
 月泉はその証(なんなのかは不明)をこっそり手に入れること、白影は、月泉になった上で皆から忘れ去られることらしい、「皆」の定義は曖昧だが、何にせよ要は非認知の究極系。もうかくれんぼがどうとかって次元じゃないな。四天王から既に異能レベルの能力を持ってるのが当たり前みたいな風潮だから今更だけど。

 今回の段位表は完全版というわけではなくて、師範以降はプロ扱いという規定と、その次の段の黒子以降は定員があることは記載されていない。初出の段位表は2ページ使って書かれていたが今回は1ページしか使えておらず、スペース上の都合で割愛されたのだと思われる。
 おさらい的に書くと、黒子は12名、四天王は当然4名、月泉は2名、白影は1名まで。

大貝宝
 今回の中心人物。かくれんぼ有段者ナンバー2,月泉の一人。姑のステレオタイプ的な姿勢で振る舞う嫌な人。特にキギキチに辛く当たる。

 能力は生きている者そっくりのからくり人形を作って遠隔操作すること。人形は表情の無さで初めて本物と見分けがつくほど精巧で、身体能力も本人に忠実。凛そっくりの人形はオリジナル同様のパワーを発揮する上、それで自壊しない耐久力がある。木製なのに。あと関節は伸縮機構が搭載されていて、伸びる。
 操作は姿を一切晒さない位置から精密に動かすことが可能で、複数の人形を同時に運用することも出来る。また人形はスピーカーを通して発声が可能で、ボイスチェンジャーか自力かは不明だが声真似もこなす。
 更には過去に人形化した人物の身体能力データは別の人形に転用可能で、製作を重ねるほどより強い人形が作れる。

 引くほど強い。現実的に恐怖の軍隊が作れる。基本技能として本体の隠密能力がずば抜けてるから、他作品の同タイプのキャラと比べても相当タチが悪そう。
 おままごとのヒナといい予知の流星といい、四天王以降は本当にヤバいのばっかりだ。これ以上の能力を持った存在が恐らくあと2人もいるなんて。

 ちなみに月泉は先に挙げた通り定員2名だが、もう片方の月泉の話は欠片も出てこなかった。四天王と違ってチーム意識が必要な段位ではない様子。宝の場合、そもそも単純な人手は必要ないしな…。でも現四天王を解体した場合、それを十二分に穴埋め出来る優秀な人材のアテはあるらしい。地味に気になる。

凛とバスケ
 バスケットボールって、コンクリの上で力一杯扱ったってどうにかなるもんじゃないのに…。別のボールと透明とキギキチは特に割れなかったようで何よりだ。

サルミアッキ
 実在するゲテモノアメ。たこ焼きアメのお返しプレゼントにしてはパンチが効きすぎている気がする。まあ本場では割と普通に食われてるらしいし、自転車のタイヤ味のグミじゃなかっただけマシかな。

ヒナちゃん
 前四天王の女性陣は再登場するが。彼女の方は登場回の中心人物になっているくらい優遇されている。4人の中でも色々飛び抜けて気合入ってたしな。凛の兄が同じクラスだったりで地味に接点は強い部類だし、今後も出てきそう。
 しかし「スーパーリアルおままごと」のことがハッキリ「能力」と形容されていたのが印象的。やっぱり能力バトル成分を含有した世界なのか。

泥沼くん
 今回もちゃんと出てきた。事前の根回しを主体に戦ったり、凛にアピールして間抜けな事になったりと、相変わらずブレない。
 凛への恋愛感情はどんどん明確になって来ており、当初の望みだった黄金の一ヶ月をゆうに超えていそう。でも恋愛面は今回も進展させる気配は無かったな。今回は特にギャグ色が強かったのもあって、三枚目的な扱いのままほったらかしで行きそうな気もしてきた。

咲と奏
 凛の妹。双子の小学4年生。ツインテール。身体的特徴からは見分けがつかないが、耳飾りをしている方が奏で、サングラスを頭に乗せている方が咲と思われる。大食いなのは凛と同じ。
 奏はお菓子とアクセサリーを作るのが得意で、咲は洋服やサングラスを作れる。なんかもう就職できそうだね…。

天音と透明
 天音が前巻で習得した予知は使うことがなかった。飛び抜けて強すぎたし、もう使わないのかも。
 一方で透明が洋菓子食べると凄いことになる設定は生きてた。表紙のケーキの話で申し訳程度に触れただけで、天音同様展開に使う気配は流石になかったけど。
 まあ2人とも、これらを抜きにしても十分過ぎるが。

今後
 残っているかくれんぼ連盟上位陣は、月泉のもう1人と頂点の月影のみ。
 こう言うと終わりが近そうだが、今回は扱われたキャラが月泉1人だけだし、キギキチの親鳥だとか別途で回収が必要そうな要素も出てきた。じっくり続けられる目処が立っていることがそれとなく伺えるので、案外長く続く作品になるかもしれない。

 そう言えば宝の本体が結局登場しなかったような気がするが、まあメインで使ってた人形(シルクハットを被った若い男)とほぼ同じ容姿なのが文脈から伺えたから、これは重要じゃないか。