考察感想:THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 08 EScape ドラマパート

  • EScape
  •  今回からは積まずに聴いていきたい。CDはしれっと早売りされる媒体だが、ネット通販でも堂々と前日に来る。

     基本的に思うところがあった箇所に言及するだけで、ストーリーやキャラの解説はスカスカだけど、ネタバレ注意。

特記事項

 大まかにはミリシタで語られたイメージドラマと同じ。アンドロイドの少女たちが人とふれ合う内に心が芽生えたが、そうなったアンドロイドは初期化対象となるため、逃避の果てに力尽きることを選ぶという、悲劇的なもの。

 しかしながら、ミリシタではどういった過程で心を持ち、どうしてそれが許されず、そして何から逃げたのかは、ほぼ触れられていなかった。
 このCDでは始まりから知られざる結末まで、しっかりと描写してくれる。

識別番号44 ミズキ:真壁瑞希

 アンドロイド。人々の身の回りの世話など、所謂メイドロボ的な用途が想定された個体。

 ツムギとシホは彼女と同じ任務の遂行目的で生み出され、また同時に起動した同期の存在。同期なのに識別番号は大きく異なり、そもそもたった2桁。これは完全なユニークIDではなく、どのシリーズの機体なのかを表す型番ということ。同系のカスタム違いなどが居るのだろう。

識別番号51 ツムギ:白石紬

 アンドロイド。大まかなコンセプトはミズキと同じ。性能もミズキと大差ないように思える。違いは胸なのか…?

 ツムギ達に課せられた任務は、反機械体制組織の元リーダー「キサラギチハヤ」の監視活動(表向きは奉仕)。本来アンドロイド達は固有の名前を持たず、識別番号もしくは型式名で名乗るが、彼女らはそのチハヤから名前を付けられた。

 監視任務は急務であったため、研修の成果は本人らが言うほど万全ではなかった。人間的な情緒が簡単に出てきたのは、この不完全さにもあったと思われる。

識別番号33 シホ:北沢志保

 アンドロイド。シホは他の2人と比べて、戦闘能力とコミュニケーション能力が秀でていると評価されていた。そのため、サイバーポリスへ所属し、ミズキたちとは別口でチハヤの監視を行う。

 戦闘能力が高いのと、ツムギたちより番号が小さいのはおそらく関係がある。まだ人類の抵抗が強かった頃に開発された、比較的交戦を意識した型ということだろう。実際ヤバイ存在達は明らかに番号が小さい。

 しかし「コミュニケーション能力」が評価されるのは、この世界のアンドロイドの役目を考えるほど異質なこと。これはそもそも他の2人よりも先天的に人に近かったという事だろう。彼女が取った行動からもよく表れている。

識別番号22 セリカ型:箱崎星梨花

 普及型アンドロイド。「セリカ型」と名乗ることからも伺えるが、全く同型の個体が街中にいる。従って固有の名前ではない。世界を統治するマザーAI直属の個体で、互いの個体でデータを共有しながら活動している。

 型番の古さや、サイバーポリス等のやや人間から距離を置いた役割から、ミズキ達よりも数段無機質な言動を取る。しかし内面の本質的な違いは、この時点で既になかったようだ。

RITSUKO-9:秋月律子

 マザーAI。
 この世界の正体は、愚かな争いを繰り返した人類を、アンドロイドたちが統治することによって形式的な平和を実現させたもの。故に、人の愚行の象徴である心を、アンドロイドが持つことは許さない。

 事あるごとにセリカを「目であり耳である」と表現しているため、意外にも自分自身で直接見聞きする能力は持っていない事がわかる。こういう存在って、衛生カメラすら自在に扱い、どこで何しても筒抜けなくらいの地獄耳が付き物だが…。

 このおかしな点は、彼女に訪れた結末から意味が推測できる。ミズキ達に限らず、全てのAIは人並みの人格が形成されるポテンシャルを持っており、マザーですら例外ではない。そのため、セリカを通して間接的に人類と接触することで、自分自身が感化されないように努めていたと考えられる。

キサラギチハヤ:如月千早

 人間。東アジア反機械組織の元リーダー。組織は既に解体されており、チハヤ自身もすでにアンドロイド達の監視下に置かれつつ隠居している。病にも侵されており、すでに先は長くない。
 しかし、時にアンドロイドすら仲間に引き入れてしまうほどの高い求心力を持っており、彼女が組織再建の布石を打つ可能性をマザー達は危惧していた。

 アンドロイド3人に与えられた名前は、亡くなった友人から取ったものだという。とくに面影があったりする風には語っていなかったので、実際登場していたら別のアイドルで配役されていたんだろうか。

感想

 正直、コミュで明かされていた内容から、CDでもオチは暗めだろうとあんまり期待していなかったが、ちゃんと大事を成し遂げる終わり方をしたからびっくりした。

 瑞希は映画化を夢見ていたが、成程こういう話だったのなら少し納得だ。尻切れで終わって「続きは劇場版で!」をやっちゃう作品は実在するが、そういう意味じゃなくてよかった…。

 独特な世界観を描きつつ、しっかりと完結しているため、非常にクオリティが高いドラマになっている。
 わりと推測の域の話を上で多く書いたが、そういう事が結構容易だったことも含めて理想的な構成だったと思う。

 ところで、イベントで散々消費した「あなたの優しさ」の正体は、このドラマに限って言えば千早のものだったことになる。
 ただEScapeのドラマは曲から派生したものであり、あくまで主体は曲なので、結局イベントに関して言えばプレイヤーのものだとは思うが、まさか千早の心を使い倒していた可能性があるとはな…。