- 「Final Party!」が最終公演と確かに宣言されたが、最終イベントとは言っていなかった。というわけでまさかのアンコールイベントが開催された。
本イベントは「サービス終了まで続く常設イベント」とのことなので、(恐らく)これが本当の最終イベントだろう。奇抜なイベントが盛り沢山だったグリマスの中でも最も奇抜であり、かつ極めて重大な言及が成されているため、グリマスに触れていた期間のあるPは是非ともプレイしてほしい。
課金関連のシステムは事実上終了しているため、イベント内で拾えるアイテムだけで完走可能な設計になっている。
やりたい放題系夢オチギャグとして受け止めるのが妥当とは思うが、そこそこ真面目に感想等を書いていく。
最終ステージで語られた話(ネタバレ)
まずこれをまとめないと整理できない。完全にネタバレなので、これを見るより先に実際に遊んで欲しいところ。
- 765プロのアイドルは人間ではない。異世界「ミリオンワールド」に住む、亜人・超人・精霊といった存在だった。
※アイドルたちの素性を一括りに表すならば、「超人」ということになる。殆どのアイドルは人の原型や身体機能を保っており、一貫して人類を上回る存在として描写されている。
※ミリオンワールドの住人という設定は後で若干覆る。 - 彼女たちは、地球のアイドルという存在に憧れていた。
その想いを聞き届けた音無小鳥は、「5年間だけ本来の姿を忘れ、人間のアイドルとして765プロで活動できる機会」を与えた。
それを受け入れた彼女らは、本来の姿を秘匿してのアイドル活動を開始した。 - ただしこの契約は、5年経ったら「ミリオンワールドでの本来の姿」か「地球でのアイドルの立場」の片方を放棄しなくてはならないという条件付きであった。
今回の騒動は、約束の時が訪れたアイドルたちをミリオンワールドに招集し、本来の姿と能力を思い出させ、各々に対し結論を問うためのものだった。 - 重い決断を迫られた50人だが、全員が迷いなくアイドルの道を選ぶ。
- ミリオンワールドの正体は、彼女ら超人50人が一同に介したことで、暴走的な進化を遂げた劇場の成れの果て。これまでの奇抜なイベントの数々も、この劇場と、各々の秘めていた超人性によってもたらされていた幻想だった。
※「アイドルたちの本当の故郷がミリオンワールド」という最初の設定が「アイドルたちが生み出したのがミリオンワールド」という形に覆っており、彼女らのルーツが再び不明になる。
- そんな劇場は、50人が普通の女の子の運命に「戻った」ことで幻想が維持できなくなり、始まりのテントの姿へと回帰していく。これに伴い、これまでの幻想、つまりこの5年間の出来事も消失してしまうという。
アイドルたちは薄らいでいく世界の中で、次の世界での再会を共に誓い合う。 - ラストでPが目を覚まし、夢オチの流れに落ち着かせる。
Pはその場に居合わせた未来たち信号機組に、「アイドルは好きか」と問いかけ、3人は迷わず肯定する。最後に未来が「アイドルを選んでよかった」という意味深な表現をして話は終わる。
…その、どんなに整理しようとしても怪文書の洪水にしかならないんだけどこれ…。どうしたら?
こうやって書いてみた雑感としては、正直整合性が足りないように感じる。結局アイドルたちはどこからやってきたのか?という最重要ポイントが宙ぶらりんで終わったのは中々ヤバい。黒幕が小鳥さんなのに、冒頭では小籠包に倒れたPに対して一人でわたわたしてたのも行き当たりばったり感を禁じ得ない。
ただまあ、収益構造を放棄したあとでのイベントなので、おおっぴらにライティングコストはかけられなかったはず。最低限やりたい流れだけを詰め込んで、設定や導入などの細かい整合性は見送り、急ぎ仕上げたことは想像に難くない。素直にお笑いイベントとして勢いで見逃すのが優しさだろう。
結局どういうオチなの
ざっと3パターン思いつく。まあ今後明確な答えが出ることはまず無いので、好みのものに決めつければいいのでは。
夢オチ
Pの解釈を素直に受け取る。エイプリルフールイベントと同じで、あくまでお遊び。あらゆる意味で滅茶苦茶なシナリオなので一番無難。
ただ、最後の最後のイベントだし、今までのトンデモっぷりに対して一定の納得を得られる話がなされたから、夢で片付けちゃっていいのかという気持ちはちょっとだけある。
分岐
「普通の人間になり、ミリシタの舞台として再スタートを切った世界」と、「諸々の超設定を夢オチとして処理した普通の世界」に分岐し、グリマス上では後者の視点で終わったという発想。
こっちは逆に飛躍しすぎだが、グリマスの体裁は維持しつつ、ミリシタに直接的な何かを繋げることが目的にあったとすれば、無いとは言い切れない落とし所。
2周目
- 普通のアイドルとして5年間をやり直し、再び「Final Party」成功まで到達していたパターン。
Pが目覚めた時点で、実はグリマス2周目の世界ということ。未来の発言から、これも中々あり得る。本人的にはあくまで無意識な言い方だろうが。
ぶっ飛びシナリオからの卒業宣言か
このエピソードにおける最大のポイントは、過去の頭おかしいイベントの数々に対し「765アイドルの正体が超人だったため」というアンサーを示し、それを解消したこと。
勿論夢オチという解釈が一番無難ではあるのだが、夢ならメッセージ性がゼロになるというわけではない。ここまで明言された以上、大きな意味を感じずにはいられない。
そしてミリシタの世界のアイドルたちは、見ての通りみんなおおよそ普通の人間。スカウトやオーディションによってごく普通に765プロにやってきて、ごく普通のアイドル活動を通して成長を続けている。またこのイベントのオチから、「普通のアイドルとして運命を巡り直しているのがミリシタ」という解釈も浮上している。
この辺を考えると、ミリシタ以降はこういった展開は控えていく、といった意思表明を感じる。
もっと言えば、グリマスとミリシタの間にそのような線引きをして、これまでのおふざけを精算することが、このイベントの大きな目的だったのでは?
…まあそもそも、ミリシタで同じことをやるのは労力的に現実的じゃないのだが。
あの奇行の数々は、立ち絵と背景さえあれば何でも出来るグリマスだから出来たこと。コミュはフルポリゴン、アイドルはフルボイスを基本フォーマットとしているミリシタで同じことをしようとすると、衣装モデルに新録ボイスといった素材が大量に必要となり、現行で開催しているイベントよりもずっと高い開発負荷がかかってしまう。
なので、個人的にはアイドルヒーローズを劇中劇として軽めに扱う程度に収まる気がしている。
まあ、やらないとは誰も断定はしてないわけで、未来は誰にもわからない。やれる機会があったらやってほしいところだ。