タチ先生の新作。大分遅くなってしまったが、これはちゃんと触れておかないと。
メロンブックス特典
最近のメロンブックスは過激な絵柄とブックカバーが多め。個人的にはクリアファイルのほうが保管しやすくて好きだけど。
絵柄は現状だとありえない構図。下着晒しはありえるどころかもうやってるんだけど、あいりが素の髪型してる点が。
特記事項
秋桜あいり
主人公。少なくとも彼女の視点で話は進む。美術部。
偶然が重なった結果、姉のひまりと間違えて交際を求められ、影武者として交際を進めていく羽目に。問題は、事がどんどん複雑で取り返しのつかない段階に進んでいることと、あいり自身がその相手を好きになったこと。あっという間に後には引けない立場になってしまった。
恐らく破局は免れないが、回避するためなら大体何でもやる。1巻時点で賭けや自爆めいた行為に複数回身を投じている。一応頭は結構回るらしい。
秋桜ひまり
あいりの双子の姉。被服部。中学まではあいりとおそろいの風貌を意識していたが、高校からガラッと変わった。
何故か、双子が居ることを積極的に明かさない。秘密というわけではないが、追求されない限りまず教えないらしい。そのため、学内ではあいりがよくひまりと勘違いされている。バイト先の従業員も全く把握していなかった。
好きな相手がいるようで、明確に言及はされていないが、その相手はどう考えてもあいり。そう思わせる言動は随所にあるが、一番は「メル友」とペアルックしたという言い分に嫉妬の表情を浮かべているシーンか。
仮にそうだった場合、事が始まる前まではほとんど両思いのようだったのだが…。
朝霧ちさき
表紙の娘。現状はヒロインに近い立ち居位置。ちなみに表紙の服装は制服。ちさき達とは違う高校に通っている。
ひまりとはバイト仲間で、好意をもっていたため告白するが、実はその日は双子の妹のあいりが替え玉として出勤しており…というのが本作の発端。彼女は双子の存在を知らされていないため、1巻の段階では全く気づいていない。気づくのがクライマックスになるか、もっと早い段階になるかで、本作の連載期間は相当変わりそう。
自撮り写真を送りつけたがる癖がある。恋人レベルの交際を要求していたとはいえ、友だちになっての写メ第一弾が入浴シーンって…。
イチカ
双子の親友。幼少期から3人で交流していた様子。高校も同じ。
今のところ本筋に深く干渉しない無害なキャラ。しかしフィーチャー自体されていないだけなので、実際どんな立ち位置に落ち着くかはわからない。彼女にも姉妹がいるらしいので、とりあえずまだ何か発展するのは確実。
イチカ「あいりに彼氏ができたのかも」→ひまり「でもペアルック、女装趣味?」→イチカ「女の子って発想はないんだ…」
という会話が後半にあるのだが、中々の狂気。ペアルック云々の情報が後出しとは言え、自分で「彼氏」という前提を唱えておいて…。でもこれはイチカが変というより、本作がそういう世界なのかもしれない。女の子同士の恋愛は別に特殊なことではないというオーラが、本作には満ち満ちている。
「髪のこと」
ちさきがひまりに好意を抱くに至った、決定打と思わしき要素。どうやらバイト先で起きた何かのようだが、現状だと明確にはわからない。「おまじない」で解決したとのことだが、ちさきの髪型をどうこうするような行為ではない様子。
どの道、あいりがあいりとバレたとき、どんなに親愛が深まっていたとしても修羅場は避けられないかも知れない。ひまりの容姿ではなく、内面に意義があったのは確実だから。
ここみ(雛菊)
バイト仲間の一人。説明らしい説明はないが、彼女もひまりたちと同じ高校に通っているらしい。
ゆるい言動だが、明らかに危険人物として描かれている。「デート」と称してちさきを盗撮しており、しかもその際の持ち物がガムテープとロープと双眼鏡と首輪。巻末のイラストだと手錠も持っている。柔軟剤を変えたとかそういう変化にすら気づく。所謂ストーカー。
また、本名が不明。バイト時は全員名札を付けているのだが、彼女はまだバイト時にアップで出ていないため、バイトシーンからはわからない。他の友人は一様に「ここみん」「ここみ」呼びなのでわからないという状態。
それだけなら別にいいのだが、何故かあいり相手には偽名らしき調子で「雛菊」と名乗ったため、どこまでも怪しいことになっている。どうなんだろう?効果としては、あいりに学内で素性を探られづらいというものが思い当たるが、おおよそにはひまりに聞けばいいしなあ。
炙りタチウオランド
多分作者の名前が由来であろう遊園地。でもあの「タチ」って多分お魚のことじゃないよな…。
「ATL」と略称で呼ばれたり、パレードやホテルがあったりするので、全面的にネズミ御殿のイメージで作られている。
総評
桜Trickに対して相対的な見方をすると、だいぶ過激で倒錯的な内容。桜Trickは基本キスまでで済ませていることと、「女の子同士の恋愛は特殊」という意識がある程度見えてるけど、本作は特に制約もなく好きにやってる。話の根幹に爆弾を抱えている上、そもそもキャラの相関に両思いが存在していないため、先の流れを全然想像できないのもポイントか。
あと、セリフのないコマをやたら印象に残る形で運用しているシーンが多くて、これはコマを好きに使えるストーリー漫画ならではだと思った。4コマでも一応できるけど、あんまりやるものじゃないし。まあ、ストーリー漫画も行ける感じだと思った。
とりあえず、桜Trickと同じものを求めるのはちょっと危険。同系統ではあるけどノリは全く違うから。
ちゃんと別物と見る前提で手を出したいならおすすめする。作者の描くキャラが好きなら何も問題なく、こっちはこっちで楽しい。