アニメ感想:Aチャンネル+smile

Aチャンネル+smile【完全生産限定版】 [Blu-ray]Aチャンネル+smile【完全生産限定版】 [Blu-ray]

 ラストのOVA.ギリギリ原作5巻発売に間に合った。と言っていいものか。今日発売なんだよね。

本編

Aチャンネル+smile 第1話「やまもりパンケーキ -An accident-」

雑感

 時期はTV版ラストの三学期始業式より後。この点は下でちょっと詳しく。内容は鬼頭先生・ユタカ・ミホの描写が中心。

 OVAもコメンタリーがある。ゲストはユタカ役又吉愛氏とミホ役斎藤桃子氏。ゲストとしては二度目なのでそれ程情報もない普通のやりとりだった。

特記事項

時系列について
 2話目が初詣ネタと明らかにTV版最終話より過去の話になってるから、こっちもそうなんだと勝手に思い込んでたけど、どうやらこっちは順当に最終話より進んだ3月辺りと見える。その辺の理屈をなぞろう。

 まず真冬に飼い始めた炭酸が存在し、ユタカミホ関連の回想に最終話のシーンがあるので、確実にTV版ラストの3学期始業式より後。
 そしてるんが「2年も(ユタカ達と)一緒のクラスになれるといいね」と言っているため進級はまだで、授業描写から春休みも未到。これらから1年目3学期の何処かで時期が限定される。

 次にキャラの登下校時の服装。みんな制服そのままにマフラーを巻いているだけ。TV版終盤に着ていた防寒着はもう着ていない。ナギだけはジャケットや手袋まで装備しているが、PAMAの帽子を被っておらず完全体ではない。つまり全員ある程度薄着になっている。
 となると、寒気が収まる3月か…?ということになる。1話は1年目の進行の完結、2話は純粋におまけエピソードらしい体裁を取ることがコンセプトということだろうか。

問題から逃げてはいけません
 数学の小テストで難しい問題を見送って次の問題を解こうとしたユタカへ、鬼頭先生からの熱いメッセージ。
 解く気が無いのか先を終えてから解くのかハッキリしないのにこんなこと言うのはダメじゃないかな?まあユタカだったら放ったらかしのまま終わりそうだけど…。

 しかし、それ以上に鬼頭先生がヤバいくらい動く。流石OVAだな。

白衣のトオル
 ユタカミホ、その他多数の生徒がこの姿に見惚れる描写追加。ロリ白衣キャラに造詣の深いクラスメイトは多い。

おねえちゃんおっぱいおっきー
 このネタ普通に入れるんだ。…2期やってほしいなあ…そしたら凄いことになるだろうなあ…。

こたつで何か
 この時のナギ、かなりやらしいことしてたんじゃないかって説をよく見たが、アニメだとただコタツダイブしてただけということで収まってるな。
 原作だと妙に色気のある顔してたけど、アニメだとこたつに入ってる時の構図のマヌケさが強調されてる。

ちょっと減量成功
 測ったら○○.9Kgらしい。○は伏せ字。まさか100gの減量じゃないよね。まさかねと思ったが、オーディオコメンタリーも似たような見解だった。
 まあ全裸とかじゃなくて相応に服着た状態で測っているから思い違いでは無いはずだ。

イナカ物置
 これは…失礼なパロディ…。いやどうでもいいけど。

チャンネルはそのまま
 次回予告の締めのセリフ。これに対し「OVAだってば!」ってツッコミが入るんだが、それ言い出したらそもそも何で律儀に次回予告があるんだろう。
 確かこのOVAは去年か一昨年にTOKYOMXでTV放映されたから、そういう時用に作っておくのかな?他作品でもOVAのエピソードってTV放映されるしね。大分前だが未来日記の後日談が唐突に放映されたり。

本編

Aチャンネル+smile 第2話「絵馬にお願い -A Happy New Year-」

雑感

 ユー子の見舞いと初詣。Aパートでは設定だけの存在だったユー子の妹、ケイ子が当時の原作に先駆けて登場する。Bパートは初詣。

 オーディオコメンタリーのゲストは黒田bb先生と小野学監督。まさにクライマックス。

特記事項

Aパートの時系列について
 Bパートは明らかに元日まで巻き戻っているが、Aパートはどうなのか?すでに過去で12月下旬あたりかも知れないし、OVA1話のすぐ後でも何ら差し支えない。炭酸みたいな整合性が求められる描写がないからね。
 …つまりどうでもいいとも言えるが、答えとしては12月下旬あたりだろうな。全員また防寒着を着てるから。ナギも完全体だ。

ユー子とケイ子の瞳の形
 想像ついてたけど、似てないな。原作だとそんなことないんだけど、アニメはキャラデザ事情が違うからね。

 掻い摘んで話をすると、アニメユー子は原作初期準拠のキャラデザになってんだけど、ケイ子はこのOVA企画で初めてキャラデザが起こされたため、原作3巻のユー子準拠になっている。
 そしてユー子は3巻までに瞳の形状が大きく変遷している(縦長楕円形→他キャラと同じ程度になる)ので、いざアニメにしたら双方に差が出たわけだ。
 2期があったら最新の方で頼みたいな。

ユー子ちゃんち久しぶり
 うーむ、アニメだと前行ったのいつだっけ?+Aチャンネルの虫退治しか思い出せない。それともそれだけだったか…。
 ユー子宅関連だけ描写があまり強調されないから、いまいち来訪状態が記憶に残ってないんだよね。

リンゴの皮むき
 ナギだけボロ負け。

しんおおさか
 ユー子が見た夢の世界。蒸気機関で動く斬新な新幹線(実態は銀河鉄道)で東京へ。
 背景には大仏、通天閣(日立の代わりにHATACHIと記載)、大文字焼き、太陽の塔、四天王寺五重塔、グリコ看板が並んでいる。そしてユー子の背後には「こうしえん」。…本場出身のユー子が見ている夢なのに、超がつくほどステレオタイプな関西だな。
 これで思い出したけど、ナギの苗字「天王寺」ってやっぱりユー子とのペアを意識して付けられたのかな?調べれば即出るけどこれ大阪の地名なんだよね。るんとトオルも百と一で少なからず繋がりがあるし。

 まあそれより、このシーンの一番の見所はユー子の中学時代の制服姿が拝める所だ。紺色基調のセーラー服もよく似合う。
 あとこの時出てくるトオル達の服装が何気にケイ子の現在の制服とかなり近いな。乗組員チックな帽子かぶってるし、スカートの色合いと、ボタンの色と個数が違うから全く一緒ではないけれど。

 コメンタリーの作者によると、宇宙に飛び出したのは当時のユー子の不安を表したものらしい。宇宙くらい未知の場所だと。

ケイ子とるん達
 OVA中だと入れ違いになって接触しない。まあ理由は容易に想像がつくし、何より原作で知ってたから別に不満はない。

 一応理由を書くと、まずそこまでやっちゃうと原作側で収集が付かない。アニメはBパートがあるけど、原作はユー子の見舞いだけでほぼ埋まっちゃうから、展開削るか海回みたいに2話構成にでもしないとまとまらない。
 それと、ケイ子の登場自体がこの時点じゃかなり想定外だったらしいから、もっと設定や扱いが固まるまで本格的に絡ませたくないだろう。最終的な接触も4巻後半と相当後になってるしね。

ケイ子ちゃんのお姉ちゃんってモデルみたいに綺麗
 漫画タッチで書かれたシーンのフキダシの一部。ここだと「奇麗」じゃなくて「綺麗」なんだな。原作やキルミーベイベーとか、きらら系か芳文社系だと前者なんだよね。意図は知らないが。

こんなの勝てるわけない
 こたつの魔力。これは珍しいな。原作よりいやらしさが減ってる。ナギの方もそうだったが、こたつは手強いのかな?自分で何言ってるかよく分からないけど。

ユー子のご利益
 トオルがナチュラルに滅茶苦茶胸揉んでることがわりとおかしいということに一瞬気付かなかった。慣れって怖いな。

他キャラの動向
 マリ・ヒラちゃん、他の教員キャラも参拝に来ていたらしい。ユタカとミホは2人でこたつに篭っていた。
 ケイ子はどこだかわからないが友人と共に屋外に。夏に打ち上げ花火を見た場所と同じ柵があるから、彼女も同じ神社かな?
 あとトオルの父親らしき人物が登場している。セリフも何もなく後ろ姿だけだがかなり若そうな印象を受ける。髪型は平々凡々な黒髪ショートヘア。

るんの兄について
 ここからはコメンタリーでの話題。声優陣は「きっとるんを溺愛してる」と言っていたが、その通りになってたね。
 で、彼らを今後出す予定はあるかという質問に対し、bb先生は「個人的には出したいし構想もあるけど、読者的にはお呼びじゃないだろうから描く機会は多分無い」といった旨の返答をしていた。
 まあ至極もっともな予測だね。佐藤先生レベルの存在だけでもう許容ギリギリという人は少なからずいると思う。ナギのブラコン設定すら結構好みが割れるかも。

料理してても袖は捲らない
 トオルの料理シーンについての指摘。そう言えばおかしいな。おかゆ運ぶ時ミトン代わりにしてたのは変に関心したけど。

るんの料理レベル
 作者曰く、普通。料理シーンだと常に何かしらやらかしているが、不注意が過ぎるのと盛りつけセンスが独特なだけというわけだな。

リンゴの皮むき談義
 ナギの中の人の内山氏は、「リンゴ本体を切り分けてからじゃないと皮むけない」というが、小野監督は「その方が(最初に皮むくより)難しいでしょ」と論じていた。
 …うーん。最後にリンゴの皮剥いたの10年以上昔だから何とも言えないが、監督の言ってる方に賛同かな。皮を全部繋げて剥ききるみたいなのは無理だったけど、「切り分けてから剥く」とか色々試行錯誤したくなるほど難しいものではなかった。と思う。

中二みたいな話描きたい
 思ってるらしい。るんとトオルのこたつネタはそういう意欲も反映されていたのだとか。
 だったらもうスターシステムでバトル漫画とか描いてもいいと思う。或いはスーパーきらら大戦とかどうかな。

監督のフェスの装備が凄かった
 原作かどっかに載ってたレポ漫画でも言及されてたね。各キャラのイメージカラーのサイリュームを腰にめっちゃ備えて、指にいっぱい挟んで超巧みに扱ってたとかどうとか。精鋭だな。
 でもこれで目立ちまくったせいか周囲の一般客に素性がバレ気味で、近くにいたbb先生がなんとなーく他人のふりしてたらしい。芋づる式にバレちゃうからね。

続きやりたい
 声優陣の一言。監督も乗り気。しかしリップサービスだろうと本気だろうと、彼らの意向だけではどうにもならないから今がある。
 それでも今後は分からないが、果たしてどうなるか。その辺は最後の項目で触れる。

特典映像

Aチャンネル+smile プロモーションムービー

 公式サイトで公開されてるプロモ映像。フェスの時のものとは違って、ほぼ完成している段階の内容。

AチャンネルTV+smile

 29分と過去回の倍近い尺で展開。構成そのものは従来のAチャンネルTVと同一で、各コーナーが長めになっている。
 Aチャンネルかるたは、本来使う文字の分は完成しているため、「Aチャン」の4文字からおまけのかるたを作っていた。

ノンクレジットオープニング

 今回はクレジット埋め込みが行われていないオーソドックスなアニメーションなので収録されている。
 キャラ紹介があるのだが、何故かユー子がナギより先。るんとトオルが逆で記載されるのは結構あるんだけど、アニメだとナギとユー子でもあるんだな。BDのパッケージもそうだったし。

ノンクレジットエンディング

 これまでのOPEDとはテイストがだいぶ違う。デフォルメされたトオルのアニメーション、スタッフ表記、一定時間で変わる一枚絵ウィンドウの3要素で構成される古典的ED手法が序盤で使われている。
 内容はまともで、挿入歌シーンのようにキャラが行動しお泊り回と、原作ファンブックおまけ漫画の内容を消化している。そのため地味にサービスショットが多い。

ボーナスディスク

 バルーンシアターと作中キャラ曲の2枚構成。収録曲は以下。

バルーンシアター(河野マリナ)
 新オープニング曲。TVサイズ版付き。シングルでリリースされたMorningArchとは違いOVAだけで手に入る。
 今回も透明感があって爽やかな曲なのは変わらず。

大切な場所(トオル、ユタカ、ミホ)
 1話挿入歌。ユタカとミホの初ボーカル。この2人はコメディ色が強いから明るい曲やネタ曲が来るだろうと思っていたら、徹頭徹尾落ち着きしっとりな内容でびっくりした。ユタカとミホの聴き分けが結構難しいがいい曲。

HAPPY NEW DAYS(るん、トオル、ナギ、ユー子)
 2話挿入歌。アニメ版の展開を統括するような内容の歌詞で、ひたすら明るいアップテンポな曲調。挿入歌の中だと珍しく本編使用箇所の雰囲気から浮いた曲調だった。歌詞に合わせた回想は入ったり、演出面では噛み合ってるけど。
 でも最後の挿入歌としてはベストな内容。かなり聴き心地の良い曲に仕上がっている。コメンタリーによると「はるかぜの化学」と作曲者が同じらしい。納得。

スマイル方程式(るん、トオル、ナギ、ユー子)
 新エンディング曲。これもTVサイズ版付き。
 大体オープニングの方と同じような推移をしている。間違いなく別の曲だがほぼ同じ雰囲気。

考察:Aチャンネルの2期進出は期待できるか否か

 最後にBDの収録内容とは無関係の考察。監督らが続きをやりたいとOVA内で発言していたのでその延長で。
 結論をまず出すと、否。無論出ないと断言する気はないししたくないが、見解的にはどうしても後ろ向きになる。
 取り敢えず判断材料足りえる要素を列挙。

プラス要素
・アニメAチャンネル自体の業績は良好。このOVAまで5000本前後くらいは安定して売れており、これは業界的には結構優秀な数字。
・原作のストックは十分。
・きららアニメの原作の中で、特にめぼしいものはそろそろ出尽くしつつある。Aチャンネルはきららキャラットの中核作品の一つであり、再びお鉢が回ってきても何らおかしくない。

マイナス要素
・芳文社アニメの2期は著しくハードルが高い。現時点で到達したのは約15作中2作、「けいおん」と「ひだまりスケッチ」だけ。
 →キャラソンやOVA辺りの展開までは結構トントン拍子で行き着くが、2期が途端に壁になっている。
・アニメと原作で時系列やノリの温度差が激しい。アニメは本OVAまでで進級直前まで時系列が進んでおり、トオルと3人との将来的な別れが強調されたりしているが、原作は未だに1年目を平和に巡っている。
・2014年4月20日追記:Studio五組が後に製作した「きんいろモザイク」が2期を決めたため、同所で先行して製作されたAチャンネルは益々絶望的に。

 ざっと挙げられる中ではこれだけだが、それでも十分にマイナス要素が重い。特に時間差温度差の問題は片付くまで2期をやるべきですらないかもしれない…。
 しかしプラス要素は十分整っているので、いつかは実現するかもしれないという見込みは最後まで残る。だからこそ今生殺しな空気になってるわけでもあるが、望みは捨てたくないところだ。